この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
異邦人の庭 〜secret garden〜
第6章 ペニー・レーンの片想い 〜Lady Yの告白〜
最後に徳子は静かに締めくくった。
「…私は、自分の人生に一片の後悔もありません。
私を寛大な愛で包み込んでくださった旦那様を心から敬い、愛していたし、今も愛しています。
愛おしい子どもにも孫にも恵まれた。
一度は没落の危機に見舞われた高遠家を盛り返すこともできた。
…幸せな人生だったと思います」
…けれど…と、幽かに艶めいた眼差しで、徳子は窓辺のアルテミスの薔薇を見遣った。
「…けれど最近、ふと思うのですよ。
もし、あの時あのままアルフレッドの手を取っていたら…。
…ともにスイスに行っていたら…。
私はどんな人生を歩んでいたのだろうかと…。
…それは後悔でも何でもなく、ただふと思うことがあるのです…」
…その言葉は、紗耶の胸の奥深くに切なく密やかに残ることになるのだ。
「…私は、自分の人生に一片の後悔もありません。
私を寛大な愛で包み込んでくださった旦那様を心から敬い、愛していたし、今も愛しています。
愛おしい子どもにも孫にも恵まれた。
一度は没落の危機に見舞われた高遠家を盛り返すこともできた。
…幸せな人生だったと思います」
…けれど…と、幽かに艶めいた眼差しで、徳子は窓辺のアルテミスの薔薇を見遣った。
「…けれど最近、ふと思うのですよ。
もし、あの時あのままアルフレッドの手を取っていたら…。
…ともにスイスに行っていたら…。
私はどんな人生を歩んでいたのだろうかと…。
…それは後悔でも何でもなく、ただふと思うことがあるのです…」
…その言葉は、紗耶の胸の奥深くに切なく密やかに残ることになるのだ。