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異邦人の庭 〜secret garden〜
第7章 コーネリアの娘
千晴の形の良い眉が顰められた。
「新歓ハイキング?
どこに行くの?」
「…高尾山です…」
「高尾山?だからその格好なのか…」
紗耶は頷く。
「この洋服は?スニーカーやキャップも…。
自分で買ったの?」
…一瞬、隼人の面影が過ったが、瞬きしたのち頷く。

「言ってくれたら一緒に買いに行ったのに…」
寂しげに微笑まれ、胸が締め付けられる。
「…ごめんなさい…」
「謝らないで。…怒ってないよ」
いつもの優しい千晴の声だった。
千晴が紗耶の前に立ち、美しい手を伸ばす。
キャップをそっと脱がされる。
どきりとする紗耶を千晴が眩しげに見つめた。
「…前髪、上げると大人っぽいね…。紗耶ちゃん…」
髪を撫でられる。
「…カジュアルな服も、よく似合う…。
とても可愛い…」
…そのまま抱き寄せられ、千晴の腕の中にすっぽりと抱き込まれる。
…清かな白檀の薫り…。
お母様が調合した新しいパフュームかな…。
嫉妬めいた感情が芽生えそうになるのを抑えるように、引き締まった千晴の胸に貌を埋める。
「…千晴お兄ちゃま…」
そのまま、強く抱き締められる。
「黙っていなくならないで…。紗耶ちゃん…。
出かける時は必ず言って…」
…息を飲むほどに悲しげな…頼りなげな声だった。
「ごめんなさい。お兄ちゃま…。
お兄ちゃまはまだお寝み中だと思って…。
あとでメールするつもりだったの」
とんとんと優しく背中を叩かれる。
「いいんだよ。
僕の方こそ、鬱陶しいよね。
一々紗耶ちゃんの行動に口出しして…。
…紗耶ちゃんが好きすぎて、どこにも行かせたくないんだ…」
そっと、貌を持ち上げられる。
…熱い言葉…熱い眼差し…。

…お母様よりも?
そう問いかけてしまいそうになるのを必死で堪える。

「…私も…お兄ちゃまが大好きよ…」
…私の初恋のひと…。
そして…近い将来、夫となるひと…。

…夫…
身体の奥がつきりと疼いた。
…嫌な痛みではない。
むしろ…
甘く、切ない…どこか艶めいた、痛みだ…。
初めての身体の甘美な疼きに、紗耶は途惑う。
だから、千晴に強くしがみつく。

「…紗耶ちゃん…」
千晴の貌が近づき、睫毛が触れ合いそうになる。
紗耶は咄嗟に瞼を閉じた。
…キス…されるのかな…。
心臓の鼓動がうるさい…。

「…愛している…。紗耶ちゃん…」
愛の言葉が囁かれ、そのキスは…優しく頰に与えられたのだった。




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