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異邦人の庭 〜secret garden〜
第7章 コーネリアの娘
「駅まで送るよ」
慌てて断っても、千晴は譲らなかった。

「ぎりぎりまで紗耶ちゃんと一緒にいたいんだ」
そう言われ、恭しく手の甲にキスされると何も言えなくなった。

「熱中症にならないように、水分をこまめに摂るんだよ」
「日焼け止めは塗った?綺麗な肌が焼けないようにね」
「登山で怪我しないようにね。何かあったら直ぐに連絡するんだよ」
駅に着くまで、千晴はずっと注意を繰り返す。
…まるで子ども扱いだ。
紗耶は少し面白くなかった。

「…お兄ちゃま、紗耶をいくつだと思っているの?
子ども扱いしすぎだわ」
「十八歳はまだ子どもだよ」
優しくあやすように笑われる。

…だからほっぺのキスだったのかな。
紗耶はむっとした。
「子どもじゃないわ。選挙権もあるし、法律的にも結婚だって出来る年齢だわ」
「結婚?」
ハンドルを握ったまま、千晴が驚いたように紗耶を振り返る。
「僕と…だよね?」
無垢で不安げな口調に、気恥ずかしいやら腹立たしいやら嬉しいやら…複雑な気持ちがミックスされる。
「…ほかに、誰がいるの…?」
無愛想に答えたのに、千晴は端麗な眼差しを柔らげた。
「…紗耶ちゃん…」
片手ハンドルで手を握られる。

「…早く、大人になって…。紗耶ちゃん。
待ち遠しいよ…」
艶めいた声で囁かれ、強く指を絡められ…紗耶の体温は一気に上がった。









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