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異邦人の庭 〜secret garden〜
第7章 コーネリアの娘
千晴の運転する深い海の色のドイツ車は、駅のロータリーになめらかに滑り込んだ。

「着いたよ、紗耶ちゃん」
シートベルトを外し、駅の改札口を伺う。

…もうすでにサークルのメンバーが何人か集まっているようだ。
賑やかな一団が眼を惹く。
中には黒いキャップを被った背の高い隼人の姿もあった。

…間に合った。良かった…。

紗耶はほっとする。
「千晴お兄ちゃま、ありがとう」
お礼を言う紗耶に千晴は一度車外に降り立ち、助手席のドアを開ける。
…優雅な所作とレディファーストの精神は、千晴の身体に染み付いているようだ。

「楽しんできて、紗耶ちゃん」
優しい笑顔にほっとして、笑い返す。
「ありがとう、お兄ちゃま。
…じゃあ、行ってきます…」

…改札口に向かって歩きかけた腕を、不意に引き寄せられたかと思うと、そのまま顎を捉えられた。

「…愛している…。紗耶ちゃん…」
端麗な貌…美しい鳶色の瞳が近づき、甘やかに唇が奪われる。
驚きに、息を呑む。
「…あ…っ…」
…その吐息ごと、熱く、巧みに千晴に奪われる。

改札口から大歓声が湧き上がる。
強く抱き竦められ、紗耶のキャップが地面に転がった。
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