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異邦人の庭 〜secret garden〜
第7章 コーネリアの娘
「…結構本格的な山登り…ですね…」
紗耶は高尾山入り口、山麓駅から山頂を見上げ、眼を見張った。
近くから見ると、かなりの高さの山だ。
すべてがこんもりと深い森に覆われている様は、とても東京都とは思えない自然の豊かさであった。

「大したことないない。
それに今日は歓迎ハイキングだからゆるゆる行くよ。
あのリフトで山上駅まで登っちゃうから楽勝!」
梢が気楽そうに笑った。

「…え…?リフト?」
梢が指差す方を見ると、可愛らしいとんがり屋根の駅舎の中にスキー場にあるようなリフト乗り場があった。
カラフルなチェアが吊り下げられていて、次々と乗客が乗り込んでいる。

「…も、もしかして…これに乗るんですか?」
「そうだよ。景色もいいし楽しいから。
サーヤ!はい、チーズ!」
梢は呑気そうにスマートフォンで紗耶の写真を撮ると、軽快にシンディ・ローパーの唄を歌いながら歩き出した。

紗耶は強張った笑顔のまま立ち竦む。

「どうした?紗耶。ほら、行くぞ」
怪訝そうな貌をする隼人の腕をがっしりと掴む。
「ま、待ってください!
わ、私…リフト初めてなんです!」
「へ?」
「そ、それに…私…高所恐怖症なんです!」
「マジか。…いや、でも大した高さはないから大丈夫だって。
幼稚園児だって平気で…イテッ!」
紗耶はぎゅっと隼人の腕を握りしめた。
「よ、幼稚園児が平気でも!わ、私は怖いんですってば!」
必死の形相に、隼人がたじろいだ様子を見せた。
「わ、わかった。紗耶。わかったから力緩めろって。痛いっつ〜の」

前を行く梢が振り返り、にやりと笑った。

「隼人。サーヤ姫と一緒に乗ってあげな。
ボディガードは姫をお守りしなきゃね」

「誰がボディガードだ」
…そうして、やれやれとため息をつくと、紗耶の腕を取った。
「ほら、行くぞ。リュックは前!
ベルトに乗ったら動かない。
チェアが流れてきたらタイミング合わせて乗る。
それだけだ。簡単だろ?
あ、ちなみにチェアには安全バーもシートベルトもないからな」

「え、ええ〜ッ⁈」
…紗耶の悲鳴が辺りに響き渡ったのだった。

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