この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
異邦人の庭 〜secret garden〜
第7章 コーネリアの娘
「…んなもん、いね〜よ」
怒ったような返答が返ってきた。
「そうなんですか…。
隼人先輩は優しいし、ハンサムだし、きっとおモテになるだろうなあ…て思って…」
「おだてても何も出ねえぞ」
フンとそっぽを向かれる。
「本当にそう思ったんです」
…優しくて、頼もしくて、そして一緒にいて楽しくて居心地が良い…。
隼人が恋人だったら、その女の子は幸せなんだろうなあ…と、思うのだ。
そう伝えると、隼人はやや眩しげな眼差しで紗耶を見下ろした。
「…お前はどうなんだよ」
「…え?」
「お前はお兄ちゃまとやらと一緒にいて、居心地は良くないのか?」
隼人の言葉に、一瞬押し黙る。
「…居心地…ですか…」
「そ。お兄ちゃまと一緒にいて楽しくないの?」
紗耶はしばらく考えを巡らせ、ゆっくりと口を開いた。
「…楽しい…とか、考えたことはありません。
お兄ちゃまと一緒にいるといまだに緊張します…。
胸がどきどきして、苦しくなって…。
…それは…小さな頃からずっと…」
…初恋だったのだ…。
アンジェラの薔薇のアーチの下…
テディベアのアリスを手渡してくれたときから…。
紗耶の心の中の一番大切な場所には、千晴しかいないのだ。
「…初恋…ね」
心の中を読まれ、はっとする。
「本当に好きな相手には、どきどきするもんさ」
ぶっきら棒に言い放つとさっさと歩き出し、参道脇の茶店で紗耶を振り返った。
「高尾山名物天狗焼、おごってやる。美味いぞ」
と、いつもの太陽のように明るい笑顔で笑ったのだった。
怒ったような返答が返ってきた。
「そうなんですか…。
隼人先輩は優しいし、ハンサムだし、きっとおモテになるだろうなあ…て思って…」
「おだてても何も出ねえぞ」
フンとそっぽを向かれる。
「本当にそう思ったんです」
…優しくて、頼もしくて、そして一緒にいて楽しくて居心地が良い…。
隼人が恋人だったら、その女の子は幸せなんだろうなあ…と、思うのだ。
そう伝えると、隼人はやや眩しげな眼差しで紗耶を見下ろした。
「…お前はどうなんだよ」
「…え?」
「お前はお兄ちゃまとやらと一緒にいて、居心地は良くないのか?」
隼人の言葉に、一瞬押し黙る。
「…居心地…ですか…」
「そ。お兄ちゃまと一緒にいて楽しくないの?」
紗耶はしばらく考えを巡らせ、ゆっくりと口を開いた。
「…楽しい…とか、考えたことはありません。
お兄ちゃまと一緒にいるといまだに緊張します…。
胸がどきどきして、苦しくなって…。
…それは…小さな頃からずっと…」
…初恋だったのだ…。
アンジェラの薔薇のアーチの下…
テディベアのアリスを手渡してくれたときから…。
紗耶の心の中の一番大切な場所には、千晴しかいないのだ。
「…初恋…ね」
心の中を読まれ、はっとする。
「本当に好きな相手には、どきどきするもんさ」
ぶっきら棒に言い放つとさっさと歩き出し、参道脇の茶店で紗耶を振り返った。
「高尾山名物天狗焼、おごってやる。美味いぞ」
と、いつもの太陽のように明るい笑顔で笑ったのだった。