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異邦人の庭 〜secret garden〜
第7章 コーネリアの娘
茶店の前…見晴らしの良いベンチに座り、隼人が買ってくれた熱々の天狗焼きを一口食べる。
「…美味しい…!」
紗耶は感動の声を上げた。
黒豆入りの餡はしっとりと甘さ控えめで、天狗を形取った皮はぱりっと焼けていてとても香ばしい。
山登りの疲れを癒してくれるような素朴な美味しさだった。
「だろ?ほら、これも飲んでみ」
売店から買ってきた冷えたグラスを渡される。
涼しげに氷が浮かんだ琥珀色の飲み物は…
「冷やし飴だ。生姜と麦芽糖が入っていて熱中症予防になる」
「…冷やし飴?初めて飲みます」
「へえ。福岡には普通にスーパーで売ってるけどな」
「冷やし飴って、すごく可愛い名前ですね」
…いただきます…と一口飲んでみる。
ピリッとした生姜の味と風味とともに、優しい甘さが口いっぱいに広がった。
「美味しいです!これ、大好きな味です!」
…天狗焼に冷やし飴…お兄ちゃまにも食べさせてあげたいな…。お土産に買おうかな…と思ったが、こんな庶民的なものを千晴が喜ぶとも思えない。
紗耶は少し寂しく微笑んだ。
「そりゃ良かった。まだまだ登るから栄養つけとけ」
隼人が天狗焼きを頬張りながら声をかける。
「はい…!」
爽やかな風が心地よい。
…眼下には、都心はもとより関東平野がどこまでも見渡せる。
スカイツリーや東京タワーがまるでおもちゃのように見えた。
…あの中のどこかに、千晴お兄ちゃまはいるんだな…。
そう思うと、なんだか千晴が遠い存在のように思えた。
「…紗耶…?どうした?」
ぼんやりする紗耶を隼人が心配そうに覗き込む。
「…いいえ。なんでもないです」
気持ちを切り替えるように明るく首を振る。
…そして…
「あの…。もし良かったら隼人先輩のこと、色々教えていただけませんか?」
隼人が驚いたように、きりりとした眉を上げた。
「…美味しい…!」
紗耶は感動の声を上げた。
黒豆入りの餡はしっとりと甘さ控えめで、天狗を形取った皮はぱりっと焼けていてとても香ばしい。
山登りの疲れを癒してくれるような素朴な美味しさだった。
「だろ?ほら、これも飲んでみ」
売店から買ってきた冷えたグラスを渡される。
涼しげに氷が浮かんだ琥珀色の飲み物は…
「冷やし飴だ。生姜と麦芽糖が入っていて熱中症予防になる」
「…冷やし飴?初めて飲みます」
「へえ。福岡には普通にスーパーで売ってるけどな」
「冷やし飴って、すごく可愛い名前ですね」
…いただきます…と一口飲んでみる。
ピリッとした生姜の味と風味とともに、優しい甘さが口いっぱいに広がった。
「美味しいです!これ、大好きな味です!」
…天狗焼に冷やし飴…お兄ちゃまにも食べさせてあげたいな…。お土産に買おうかな…と思ったが、こんな庶民的なものを千晴が喜ぶとも思えない。
紗耶は少し寂しく微笑んだ。
「そりゃ良かった。まだまだ登るから栄養つけとけ」
隼人が天狗焼きを頬張りながら声をかける。
「はい…!」
爽やかな風が心地よい。
…眼下には、都心はもとより関東平野がどこまでも見渡せる。
スカイツリーや東京タワーがまるでおもちゃのように見えた。
…あの中のどこかに、千晴お兄ちゃまはいるんだな…。
そう思うと、なんだか千晴が遠い存在のように思えた。
「…紗耶…?どうした?」
ぼんやりする紗耶を隼人が心配そうに覗き込む。
「…いいえ。なんでもないです」
気持ちを切り替えるように明るく首を振る。
…そして…
「あの…。もし良かったら隼人先輩のこと、色々教えていただけませんか?」
隼人が驚いたように、きりりとした眉を上げた。