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異邦人の庭 〜secret garden〜
第2章 ブルームーンの秘密
思わず身震いする紗耶の額に、紫織の白く美しい額がそっと合わさる。
静かに、紗耶を動揺させないように尋ねる。
「…去年の大お祖母様のお誕生日会のこと?」
紫織の黒眼勝ちのアーモンド型の瞳に頷く。
「…うん…。
すごく…お叱りを受けたから…。
紗耶の声が小さくて…何も聞こえない…て…」
言っているうちにその日の光景を思い出し、涙ぐみそうになる。
「…紗耶ちゃん…」
紫織が肩をぽんぽんと明るく叩く。
「泣かないのよ。大丈夫…」
カモミールローマンの優しい薫りの紫織に、ぎゅっとしがみつく。
…泣きたくなるのは、大お祖母様が怖いからではない。
ほかの親戚の子どものように、簡単な挨拶や会話をそつなくこなせないこと、自分のせいで紫織や政彦に恥ずかしい思いをさせること…
そして…何より、その光景を一部始終千晴に見られたことだった。
静かに、紗耶を動揺させないように尋ねる。
「…去年の大お祖母様のお誕生日会のこと?」
紫織の黒眼勝ちのアーモンド型の瞳に頷く。
「…うん…。
すごく…お叱りを受けたから…。
紗耶の声が小さくて…何も聞こえない…て…」
言っているうちにその日の光景を思い出し、涙ぐみそうになる。
「…紗耶ちゃん…」
紫織が肩をぽんぽんと明るく叩く。
「泣かないのよ。大丈夫…」
カモミールローマンの優しい薫りの紫織に、ぎゅっとしがみつく。
…泣きたくなるのは、大お祖母様が怖いからではない。
ほかの親戚の子どものように、簡単な挨拶や会話をそつなくこなせないこと、自分のせいで紫織や政彦に恥ずかしい思いをさせること…
そして…何より、その光景を一部始終千晴に見られたことだった。