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異邦人の庭 〜secret garden〜
第7章 コーネリアの娘
「え?私…ですか?」
眼を見張る紗耶に、隼人が頷く。
「そ。…俺もまだお前のこと、あんまり知らないからさ」
見つめられた瞳が、あまりにも真っ直ぐで、紗耶はどきりとする。
「紗耶のことが、知りたい」
…隼人の声は、低く…ややハスキーで心地よく耳に馴染む。

「…私のこと…」
戸惑う紗耶に、隼人がざっくばらんに尋ねてきた。
「親父さんやお袋さんのこととかさ。どんなひと?」
「…お父様…父は銀行員です。
真面目で穏やかでとても優しいひとです。
私は父から一度も叱られたことはありません」
…千晴の花嫁に紗耶が選ばれたときには、政彦は普段の物静かさをかなぐり捨て、徳子と千晴に対峙した。
分家の…しかも末流の家の政彦が声を上げるのは、異例のことだった。
ひたすら、紗耶の幸せを考えてくれたのだ。

政彦は多忙な中、今もまめに電話やメールをくれる。
「たまには家に帰っておいで。
紗耶の貌が見られないとお父様は寂しくて仕方ないよ」

だから、なるべく父がいるときに奥沢の家に帰るようにしている。時には、大学の帰りに待ち合わせして、食事をすることもある。
政彦は紗耶の大学生活の話…ほとんどサークルの話だが…を嬉しそうに頷きながら聞き入ってくれるのだ。
「紗耶は変わったね。
生き生きして、きらきらして…益々可愛くなった…」
そう言って、紗耶が幼い頃にしたように優しく髪を撫でるのだ。

「へえ…。ちょっと甘いけれど、いい親父さんだな。
お袋さんは?」
隼人に水を向けられ、紗耶は一瞬、瞬きをする。

「…母は…」

…お母様のことを話すのは、とても難しい…。

紗耶はゆっくりと息を継ぎ、唇を開いた。






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