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異邦人の庭 〜secret garden〜
第7章 コーネリアの娘
「紗耶ちゃん…!
これはどういうことかな?」
千晴の美しく冴え冴えとした瞳が、鋭く隼人を見据えた。
「なぜ、君が紗耶ちゃんを背負っているのかな?」
矢継ぎ早に紗耶と隼人に質問を繰り出しながら、千晴は
「紗耶ちゃん、おいで。
どうしたの?何があったの?」
と、手を差し伸べる。
「…お兄ちゃま…あのね…」
理由を説明する前に、強引に千晴の引き締まった長い腕に抱き上げられた。
…白檀の薫りに…ひんやりとした…けれどどこか高貴な野獣めいたアルデハイドの薫り…。
千晴の白い麻のシャツの胸元から漂うこの薫りは…
この絶妙な配合は…お母様のオリジナルのトワレだ…。
「紗耶ちゃん。足、どうしたの?怪我しているじゃない」
紗耶の足首に巻かれた赤いバンダナに眼を遣った千晴の声がいきなり尖る。
「すみません。
紗耶さんは登山の帰りに、脚を捻挫してしまったんです。
俺の注意が足りなかったから…。
俺の責任です。
すみませんでした」
隼人が潔く頭を下げる。
紗耶は千晴の腕の中で慌てて首を振る。
「違うの、お兄ちゃま。隼人先輩は悪くないの。
紗耶が勝手に転んだの。
だからお願い。隼人先輩を責めないで」
「…紗耶ちゃん…」
千晴は苛立ったような表情をふっと消し…小さくため息を吐いた。
「痛い?紗耶ちゃん」
いつもの優しい声にほっとする。
「大丈夫。隼人先輩がきちんと手当てしてくれたから…」
「…そう…。
それならいいよ。紗耶ちゃんに大事ないなら…」
そうして隼人の方に向き直る。
その姿には、努めて紳士的に語りかけようとする千晴の意思が垣間見られた。
「隼人くん、君の責任は問わない」
…けれど…
千晴は紗耶を横抱きに抱き上げたまま、隼人に冷ややかに言い放った。
「紗耶は僕の婚約者だ。
これからは金輪際、勝手に馴れ馴れしく触れるのはやめてくれたまえ」
これはどういうことかな?」
千晴の美しく冴え冴えとした瞳が、鋭く隼人を見据えた。
「なぜ、君が紗耶ちゃんを背負っているのかな?」
矢継ぎ早に紗耶と隼人に質問を繰り出しながら、千晴は
「紗耶ちゃん、おいで。
どうしたの?何があったの?」
と、手を差し伸べる。
「…お兄ちゃま…あのね…」
理由を説明する前に、強引に千晴の引き締まった長い腕に抱き上げられた。
…白檀の薫りに…ひんやりとした…けれどどこか高貴な野獣めいたアルデハイドの薫り…。
千晴の白い麻のシャツの胸元から漂うこの薫りは…
この絶妙な配合は…お母様のオリジナルのトワレだ…。
「紗耶ちゃん。足、どうしたの?怪我しているじゃない」
紗耶の足首に巻かれた赤いバンダナに眼を遣った千晴の声がいきなり尖る。
「すみません。
紗耶さんは登山の帰りに、脚を捻挫してしまったんです。
俺の注意が足りなかったから…。
俺の責任です。
すみませんでした」
隼人が潔く頭を下げる。
紗耶は千晴の腕の中で慌てて首を振る。
「違うの、お兄ちゃま。隼人先輩は悪くないの。
紗耶が勝手に転んだの。
だからお願い。隼人先輩を責めないで」
「…紗耶ちゃん…」
千晴は苛立ったような表情をふっと消し…小さくため息を吐いた。
「痛い?紗耶ちゃん」
いつもの優しい声にほっとする。
「大丈夫。隼人先輩がきちんと手当てしてくれたから…」
「…そう…。
それならいいよ。紗耶ちゃんに大事ないなら…」
そうして隼人の方に向き直る。
その姿には、努めて紳士的に語りかけようとする千晴の意思が垣間見られた。
「隼人くん、君の責任は問わない」
…けれど…
千晴は紗耶を横抱きに抱き上げたまま、隼人に冷ややかに言い放った。
「紗耶は僕の婚約者だ。
これからは金輪際、勝手に馴れ馴れしく触れるのはやめてくれたまえ」