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異邦人の庭 〜secret garden〜
第7章 コーネリアの娘
紗耶の部屋に入るなり、千晴は後ろ手に扉の鍵を閉めた。
「…お兄ちゃま…?どうして…鍵を閉めるの…?」
千晴のしなやかな腕の中、紗耶はおずおずと尋ねた。
千晴は何も答えない。
…その彫像のように美しく…整いすぎたほどに整った貌は無表情だ。
けれど、その瞳は息を呑むほどに熱情に満ちて紗耶を見降ろしているのだ。
千晴が紗耶の部屋に勝手に入ってきたことは、これまで一度たりともなかった。
品格のある紳士は、例え招き入れられたとしても未婚の女性の部屋に一人で入ってはならないからだ。
何よりも礼を重んじ、女性に敬意を払う千晴は、それらのマナーを破ったことは決してなかった。
けれど、今夜の千晴は違っていた。
黙って寝台まで進むと、荒々しく蜂蜜色の紗幕を払い除けた。
そうして脚に負担を掛けないぎりぎりの乱暴さで紗耶を寝台に下ろし、覆い被さったのだ。
「お兄ちゃま…?」
…白檀と、官能的なアルデハイドの薫りが、まだ知らぬ成熟した男の匂いと合わさり、否応なく紗耶を押し包む。
いつもと違う千晴と、彼の行動に、紗耶は恐れを為した。
「…ち、千晴お兄ちゃま…?」
千晴の大きく美しい手が、愛おしげに紗耶の髪を撫で下ろす。
「紗耶ちゃん…。僕は、とても怒っている。
他の男に勝手に君に触れさせたことをね…」
…だから…
そこからはひんやりとした甘さを含んだ声で囁いた。
「…紗耶ちゃんに、お仕置きしなくちゃね…」
「…お兄ちゃま…?どうして…鍵を閉めるの…?」
千晴のしなやかな腕の中、紗耶はおずおずと尋ねた。
千晴は何も答えない。
…その彫像のように美しく…整いすぎたほどに整った貌は無表情だ。
けれど、その瞳は息を呑むほどに熱情に満ちて紗耶を見降ろしているのだ。
千晴が紗耶の部屋に勝手に入ってきたことは、これまで一度たりともなかった。
品格のある紳士は、例え招き入れられたとしても未婚の女性の部屋に一人で入ってはならないからだ。
何よりも礼を重んじ、女性に敬意を払う千晴は、それらのマナーを破ったことは決してなかった。
けれど、今夜の千晴は違っていた。
黙って寝台まで進むと、荒々しく蜂蜜色の紗幕を払い除けた。
そうして脚に負担を掛けないぎりぎりの乱暴さで紗耶を寝台に下ろし、覆い被さったのだ。
「お兄ちゃま…?」
…白檀と、官能的なアルデハイドの薫りが、まだ知らぬ成熟した男の匂いと合わさり、否応なく紗耶を押し包む。
いつもと違う千晴と、彼の行動に、紗耶は恐れを為した。
「…ち、千晴お兄ちゃま…?」
千晴の大きく美しい手が、愛おしげに紗耶の髪を撫で下ろす。
「紗耶ちゃん…。僕は、とても怒っている。
他の男に勝手に君に触れさせたことをね…」
…だから…
そこからはひんやりとした甘さを含んだ声で囁いた。
「…紗耶ちゃんに、お仕置きしなくちゃね…」