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異邦人の庭 〜secret garden〜
第7章 コーネリアの娘
「…紗耶ちゃん…。
ちゃんと温まった?
足は痛くない?」
寝台から立ち上がった千晴がしなやかに近づいてくる。
「…はい…。大丈夫です…」
ナイティ姿を見せるのは、初めてだ。
千晴は紳士なので、夜着姿になった紗耶を訪ねることなどしないからだ。
恥ずかしくて俯く紗耶を、千晴はじっと見つめた。
「…そのドレス、とてもよく似合うね…」
…そうして…
「亡くなった母の若い頃のドレスなんだよ。
サイズもぴったりで良かった…」
紗耶は貌を上げた。
千晴の口から、母親のことが語られたのは初めてであった。
千晴の美しい指が伸ばされ、まだ僅かに湿り気を帯びた紗耶の髪を愛おしげに撫でる。
「…母はとても美しいひとだった…。
僕は幼すぎて、あまりたくさんの記憶はないけれどね…」
…紗耶の顎を優しく引き寄せ…
「…母は少し、紗耶ちゃんに似ているよ…」
囁いた。
…嘘だ…。
紗耶は叫びそうになる。
…お兄ちゃまのお母様に似ているのは、私のお母様なのに…。
「…お写真を拝見したわ…。大お祖母様のお部屋で…」
…そうして…
「…私の…お母様にそっくりだと思ったわ…」
意を決して告げた。
「紫織さん?」
意外な言葉を聞いたように、千晴は端正な眉を上げた。
「…ああ…。そうだね。紫織さんによく似ているね。
紫織さんに初めて会った時は、母が蘇ったのかと思った…」
美しい鳶色の瞳に仄かな熱が宿る。
…やっぱり…。
苦しい気持ちに瞬きをする紗耶を、千晴の美しい瞳が見つめる。
「…でも、紗耶ちゃんにも似ている…。
それに…記憶の中の母と、紗耶ちゃんの薫りがそっくりなんだ…」
そう囁くと紗耶を引き寄せ、強く抱き寄せた。
…白檀の薫りが紗耶を包み込む。
千晴は紗耶の首すじに貌を埋める。
熱い吐息が吐かれ、切なげなため息が漏れる。
「…ああ…。やっぱりそうだ…。
ダマスクローズの薫り…。
紗耶ちゃんは、母の匂いがする…」
ちゃんと温まった?
足は痛くない?」
寝台から立ち上がった千晴がしなやかに近づいてくる。
「…はい…。大丈夫です…」
ナイティ姿を見せるのは、初めてだ。
千晴は紳士なので、夜着姿になった紗耶を訪ねることなどしないからだ。
恥ずかしくて俯く紗耶を、千晴はじっと見つめた。
「…そのドレス、とてもよく似合うね…」
…そうして…
「亡くなった母の若い頃のドレスなんだよ。
サイズもぴったりで良かった…」
紗耶は貌を上げた。
千晴の口から、母親のことが語られたのは初めてであった。
千晴の美しい指が伸ばされ、まだ僅かに湿り気を帯びた紗耶の髪を愛おしげに撫でる。
「…母はとても美しいひとだった…。
僕は幼すぎて、あまりたくさんの記憶はないけれどね…」
…紗耶の顎を優しく引き寄せ…
「…母は少し、紗耶ちゃんに似ているよ…」
囁いた。
…嘘だ…。
紗耶は叫びそうになる。
…お兄ちゃまのお母様に似ているのは、私のお母様なのに…。
「…お写真を拝見したわ…。大お祖母様のお部屋で…」
…そうして…
「…私の…お母様にそっくりだと思ったわ…」
意を決して告げた。
「紫織さん?」
意外な言葉を聞いたように、千晴は端正な眉を上げた。
「…ああ…。そうだね。紫織さんによく似ているね。
紫織さんに初めて会った時は、母が蘇ったのかと思った…」
美しい鳶色の瞳に仄かな熱が宿る。
…やっぱり…。
苦しい気持ちに瞬きをする紗耶を、千晴の美しい瞳が見つめる。
「…でも、紗耶ちゃんにも似ている…。
それに…記憶の中の母と、紗耶ちゃんの薫りがそっくりなんだ…」
そう囁くと紗耶を引き寄せ、強く抱き寄せた。
…白檀の薫りが紗耶を包み込む。
千晴は紗耶の首すじに貌を埋める。
熱い吐息が吐かれ、切なげなため息が漏れる。
「…ああ…。やっぱりそうだ…。
ダマスクローズの薫り…。
紗耶ちゃんは、母の匂いがする…」