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異邦人の庭 〜secret garden〜
第8章 ガブリエルの秘密の庭
『紫織先生ほどお幸せな女性はいらっしゃらないわね。
旦那様はエリート銀行員…。スマートで素敵で、紫織先生のお仕事にもご理解があって、お優しくて…。
可愛らしいお嬢様がいらして…。
こんなに素晴らしい広いご自宅に専用のラボまでお持ちになって…』
アロマの教室の生徒たちに、ため息混じりに常套句で言われる言葉だ。

学生時代からの友人たちには…
『紫織みたいに恵まれたひとも珍しいわよね。
ぞっとするくらいの美人でおうちは裕福で、大学卒業後すぐにエリートバンカーにプロポーズされて結婚して、可愛い女の子にも恵まれて…。
アロマテラピストの仕事も、順調。
マスコミにも取り上げられるくらい売れっ子でさ…。
…ああ、神様は本当に依怙贔屓がはげしいわ…』
やっかみ半分で、会う度に言われたものだ。

そんな時、紫織は小さく微笑むだけだ。
肯定も否定もしない。
こんな時は何を言っても反感を買うだけだと分かっているからだ。

…幸せ…恵まれている…。
確かにそうかも知れない。

もう一度、眼の前の夫を見つめる。

政彦は良い夫だ。
性格も穏やかで物静かで優しい。
秀才で大変に聡明だが、決して知識をひけらかしたりはしない。
一流のメガバンクの経営戦略室長で、その中でも特に優秀と呼び声が高い。
もちろん年収も高い。
…何より紫織を未だに熱愛し続けている。

…視線を感じたのか政彦はフォークを止めた。

「どうしたの?紫織?」

紫織は首を振り、静かに微笑んだ。

「…いいえ。なんでもありませんわ。
…政彦さん、コーヒーのお代わりは召し上がる?」
淑やかに立ち上がり、尋ねた。

紫織を見上げ、政彦は眩しげに眼を細めた。

「…ああ、いただくよ。紫織…」
答えると再び眼を伏せた。




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