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異邦人の庭 〜secret garden〜
第9章 ガブリエルの秘密の庭 〜甘く苦い恋の記憶〜
…バスが次の停留所で止まり、やがて、どやどやとたくさんの男子学生が賑やかに乗り込んで来た。
…紫織は微かに、形の良い眉を顰めた。
バス停の目の前にあるS高は私学の男子校だが、紫織にはうんざりする印象しかない。
…あまり偏差値は高くない金持ちのドラ息子たちの学校…。
女の子たちをナンパすることしか考えていない…いわゆるチャラい男子校生が量産されているような学校なのだ。
偏差値や学力がすべてとは思わない。
けれど、紫織は努力をしない学生に共感が持てないのだ。
…そして、案の定、紫織の嫌な予感は的中した。
騒がしく笑いながら団体で乗り込んできた一人が、目ざとく紫織を見つけると、大股で近づいてきたのだ。
「紫織ちゃん!紫織ちゃんじゃん!
いやあ〜、運命感じちゃうなあ。偶然会えるなんて。
ねね、紫織ちゃん。元気だった?
相変わらずビビるくらい美人だね〜」
髪を赤く染めたその男子高生は、以前からバスの中で紫織をナンパしてきたのだ。
きっぱりと断ったにも関わらず、会うたびに懲りずにしつこく誘ってくるのだ。
今日も男子校生は、まさか紫織の隣に座っているのが学院の教師とは露知らず、馴れ馴れしく話しかけ続ける。
「ね、紫織ちゃん。これから食事して、カラオケ行かない?」
「行きません」
「ツレないなあ〜。
いいじゃん。行こうよ。俺さ、ほんっとに紫織ちゃんが大好きなの。
一回くらい付き合ってよ」
口説くだけでは飽き足らず、男子高生は紫織の手首を掴み引き寄せようとする。
紫織はきっと、男子高生を睨みつける。
「離して。触らないで」
周りの友人たちはにやにやと下卑た笑いを浮かべ、口笛を吹いた。
「俺はさ、冷たくされればされるほど、燃えちゃうんだよね。
紫織ちゃん。いいから一緒においでよ。楽しくやろうよ」
有無を言わせずに引っ張られそうになったその時…
「手を離しなさい。
嫌がる女の子に無理強いするのは感心しないな」
藤木が男子高生の手を掴み、紫織を解放した。
「なんだよ、アンタ。関係ね〜のにしゃしゃってくんな!」
手を捕まれ、男子高生は藤木を睨む。
「僕は北川さんの担任だ。
…どうする?このまま君たちの学校に行こうか?
ここで騒ぎになるよりいいよね?」
藤木の穏やかな脅し文句に、男子高生は眼を白黒させながら、慌てて乗客を掻き分け、バスを降りて行ったのだった。
…紫織は微かに、形の良い眉を顰めた。
バス停の目の前にあるS高は私学の男子校だが、紫織にはうんざりする印象しかない。
…あまり偏差値は高くない金持ちのドラ息子たちの学校…。
女の子たちをナンパすることしか考えていない…いわゆるチャラい男子校生が量産されているような学校なのだ。
偏差値や学力がすべてとは思わない。
けれど、紫織は努力をしない学生に共感が持てないのだ。
…そして、案の定、紫織の嫌な予感は的中した。
騒がしく笑いながら団体で乗り込んできた一人が、目ざとく紫織を見つけると、大股で近づいてきたのだ。
「紫織ちゃん!紫織ちゃんじゃん!
いやあ〜、運命感じちゃうなあ。偶然会えるなんて。
ねね、紫織ちゃん。元気だった?
相変わらずビビるくらい美人だね〜」
髪を赤く染めたその男子高生は、以前からバスの中で紫織をナンパしてきたのだ。
きっぱりと断ったにも関わらず、会うたびに懲りずにしつこく誘ってくるのだ。
今日も男子校生は、まさか紫織の隣に座っているのが学院の教師とは露知らず、馴れ馴れしく話しかけ続ける。
「ね、紫織ちゃん。これから食事して、カラオケ行かない?」
「行きません」
「ツレないなあ〜。
いいじゃん。行こうよ。俺さ、ほんっとに紫織ちゃんが大好きなの。
一回くらい付き合ってよ」
口説くだけでは飽き足らず、男子高生は紫織の手首を掴み引き寄せようとする。
紫織はきっと、男子高生を睨みつける。
「離して。触らないで」
周りの友人たちはにやにやと下卑た笑いを浮かべ、口笛を吹いた。
「俺はさ、冷たくされればされるほど、燃えちゃうんだよね。
紫織ちゃん。いいから一緒においでよ。楽しくやろうよ」
有無を言わせずに引っ張られそうになったその時…
「手を離しなさい。
嫌がる女の子に無理強いするのは感心しないな」
藤木が男子高生の手を掴み、紫織を解放した。
「なんだよ、アンタ。関係ね〜のにしゃしゃってくんな!」
手を捕まれ、男子高生は藤木を睨む。
「僕は北川さんの担任だ。
…どうする?このまま君たちの学校に行こうか?
ここで騒ぎになるよりいいよね?」
藤木の穏やかな脅し文句に、男子高生は眼を白黒させながら、慌てて乗客を掻き分け、バスを降りて行ったのだった。