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異邦人の庭 〜secret garden〜
第9章 ガブリエルの秘密の庭 〜甘く苦い恋の記憶〜
紫織が自宅に帰宅すると、ハウスキーパーのカヨがほっとしたように玄関まで迎えに出て来た。
…雨は漸く小止みになっていた…。
「お帰りなさいませ。
奥様がご心配なさっていましたよ。
紫織さんのお帰りが遅い…と」
…やっぱり…
紫織は小さく溜息を吐く。
「…そう…。
お母様は?お二階?」
ちらりと見上げる階段は薄暗く、紫織の心は一層、重く陰鬱になる。
「はい…」
気遣わしげな表情のカヨに、紫織はにっこりと笑いかける。
「ありがとう。カヨさん、もう帰っていただいて大丈夫よ。
遅くまでありがとうね」
「いえいえ。紫織さんのお食事のお給仕をいたしますよ。
今日は紫織さんの大好きなサーモンとほうれん草のチーズドリアですよ。私の自信作です」
福々しい人の良さげな笑顔に癒される。
「ありがとう…」
「さあさ、奥様にご挨拶なさっていらっしゃいませ。
お食事、温めてお待ちしていますよ」
陽気に目配せして笑いながら、カヨは食堂に引っ込んだ。
カヨは紫織が幼稚園の頃からこの家のハウスキーパーをしてくれている親戚のように近しい存在だ。
陽気で優しく、そして賢い彼女はいつもさりげなく紫織に寄り添ってくれる。
…こんな日は特に、カヨさんに助けられるわ…。
ふっと大きく息を吐き、紫織は姿勢を正してゆっくりと母親が待つ二階へと上がっていった。
…雨は漸く小止みになっていた…。
「お帰りなさいませ。
奥様がご心配なさっていましたよ。
紫織さんのお帰りが遅い…と」
…やっぱり…
紫織は小さく溜息を吐く。
「…そう…。
お母様は?お二階?」
ちらりと見上げる階段は薄暗く、紫織の心は一層、重く陰鬱になる。
「はい…」
気遣わしげな表情のカヨに、紫織はにっこりと笑いかける。
「ありがとう。カヨさん、もう帰っていただいて大丈夫よ。
遅くまでありがとうね」
「いえいえ。紫織さんのお食事のお給仕をいたしますよ。
今日は紫織さんの大好きなサーモンとほうれん草のチーズドリアですよ。私の自信作です」
福々しい人の良さげな笑顔に癒される。
「ありがとう…」
「さあさ、奥様にご挨拶なさっていらっしゃいませ。
お食事、温めてお待ちしていますよ」
陽気に目配せして笑いながら、カヨは食堂に引っ込んだ。
カヨは紫織が幼稚園の頃からこの家のハウスキーパーをしてくれている親戚のように近しい存在だ。
陽気で優しく、そして賢い彼女はいつもさりげなく紫織に寄り添ってくれる。
…こんな日は特に、カヨさんに助けられるわ…。
ふっと大きく息を吐き、紫織は姿勢を正してゆっくりと母親が待つ二階へと上がっていった。