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異邦人の庭 〜secret garden〜
第2章 ブルームーンの秘密
「…紗耶さんはおとなしやかで控えめなご性格なのです。
人前で活発にお話しをされることは苦手でも、陰日向なく思い遣りを持って行動される方です。
それは素晴らしい美徳だと僕は感じております。
…お祖母様の木香薔薇に免じて、お許しいただけませんでしょうか?」
千晴の発言に徳子は相好を崩し、声を立てて笑った。
徳子が声に出して笑うことなど滅多にない。
すっかり機嫌は直っている証拠だ。
華子が面白くなさそうに、膨れっ面で髪を邪険に掻き上げた。
「これで許さなければ私が鬼のようだわ。
…まあ、いいでしょう。
紗耶さん。私の薔薇をありがとう。
…でもね、いつまでも恥ずかしがり屋の子どものままで良いわけではありませんよ。
大人しくても発言する時ははきはきと。
それがレディのマナーです」
そのまま紫織を見遣り、釘を挿すことも忘れない。
「…紫織さんも、そのように紗耶さんをご教育なさい。
高遠の一族の娘の名に恥じぬように躾けるのです」
「私が至らぬばかりに、大変申し訳ございません。
大お祖母様。ありがたいご教授を心より感謝申し上げます」
紫織が深々と折り目正しく頭を下げた。
…私のせいで、お母様が謝られている…。
紗耶は消え入りたいような羞恥に襲われ、いたたまれない想いに俯いたのだった。
人前で活発にお話しをされることは苦手でも、陰日向なく思い遣りを持って行動される方です。
それは素晴らしい美徳だと僕は感じております。
…お祖母様の木香薔薇に免じて、お許しいただけませんでしょうか?」
千晴の発言に徳子は相好を崩し、声を立てて笑った。
徳子が声に出して笑うことなど滅多にない。
すっかり機嫌は直っている証拠だ。
華子が面白くなさそうに、膨れっ面で髪を邪険に掻き上げた。
「これで許さなければ私が鬼のようだわ。
…まあ、いいでしょう。
紗耶さん。私の薔薇をありがとう。
…でもね、いつまでも恥ずかしがり屋の子どものままで良いわけではありませんよ。
大人しくても発言する時ははきはきと。
それがレディのマナーです」
そのまま紫織を見遣り、釘を挿すことも忘れない。
「…紫織さんも、そのように紗耶さんをご教育なさい。
高遠の一族の娘の名に恥じぬように躾けるのです」
「私が至らぬばかりに、大変申し訳ございません。
大お祖母様。ありがたいご教授を心より感謝申し上げます」
紫織が深々と折り目正しく頭を下げた。
…私のせいで、お母様が謝られている…。
紗耶は消え入りたいような羞恥に襲われ、いたたまれない想いに俯いたのだった。