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異邦人の庭 〜secret garden〜
第2章 ブルームーンの秘密
「…あの日は…千晴さんが庇ってくださったわね」
紫織がしみじみと呟いた。
好い薫りがする美しい手で、優しく髪を撫でられ紗耶の気持ちは落ち着いてきた。
「…そうね…。千晴お兄ちゃまはお優しいから…」
「千晴さんは仰っていたわね。
紗耶ちゃんの良いところは陰日向なく思い遣りのある行動することだ…て。
お母様もそう思うわ。
紗耶ちゃんはとても優しくて皆に思い遣りを持てる素晴らしい子。
…それを、千晴さんは認めて褒めてくださったのよ。
自信を持ちましょうよ」
…ね?紗耶ちゃん…
と、美しい﨟たけた貌で覗き込まれ、紗耶は思わず微笑んだ。
「…そう…ね。
千晴お兄ちゃまやお母様のためにも、今年はきちんと大お祖母様とお話しできるように、頑張る」
…今年のお誕生日会は、少しは大お祖母様に認めていただきたい。
紗耶の心に密かな欲望が目覚めた。
…そうしたら…千晴お兄ちゃまも、喜んでくださる…かな…。
千晴の白皙の高貴な面影が胸に蘇る。
きゅんと甘く締め付けられる想いは…
「…紗耶ちゃん…千晴さんが好き?」
不意に囁かれ、紗耶はどきりと紫織を見上げた。
「え?」
「…紗耶ちゃんの初恋の王子様なのかな…て。
大丈夫よ、千晴さんやお父様には言わないから」
長い睫毛を瞬き、仄かに謎めいた微笑みを浮かべる紫織は、どこか美しい預言者めいて見えた。
「…そ、そんなこと…ない…。
千晴お兄ちゃまは…親戚だし…。
それに第一…私なんか…まだまだ子どもだし…お母様みたいに美人じゃないし…千晴お兄ちゃまの周りにはきっとたくさんの綺麗で素敵な女性がいらっしゃる…。
…私なんか…」
…慌てて否定しても口から零れ落ちる言葉は、すべて千晴への恋する想いに溢れてしまう。
恥ずかしくて俯いてしまう紗耶に…
「…紗耶ちゃん…」
紫織が、嫋やかな仕草で紗耶の髪を撫でる。
「…紗耶ちゃんはとても可愛いわ。
千晴さんは、きっと貴女の良さを理解してくださっている…。
…初恋を…諦めてはだめよ…」
…紫織の言葉は、しっとりと匂いやかな呪いのように紗耶の鼓膜に絡みつき…染み入っていった。
紫織がしみじみと呟いた。
好い薫りがする美しい手で、優しく髪を撫でられ紗耶の気持ちは落ち着いてきた。
「…そうね…。千晴お兄ちゃまはお優しいから…」
「千晴さんは仰っていたわね。
紗耶ちゃんの良いところは陰日向なく思い遣りのある行動することだ…て。
お母様もそう思うわ。
紗耶ちゃんはとても優しくて皆に思い遣りを持てる素晴らしい子。
…それを、千晴さんは認めて褒めてくださったのよ。
自信を持ちましょうよ」
…ね?紗耶ちゃん…
と、美しい﨟たけた貌で覗き込まれ、紗耶は思わず微笑んだ。
「…そう…ね。
千晴お兄ちゃまやお母様のためにも、今年はきちんと大お祖母様とお話しできるように、頑張る」
…今年のお誕生日会は、少しは大お祖母様に認めていただきたい。
紗耶の心に密かな欲望が目覚めた。
…そうしたら…千晴お兄ちゃまも、喜んでくださる…かな…。
千晴の白皙の高貴な面影が胸に蘇る。
きゅんと甘く締め付けられる想いは…
「…紗耶ちゃん…千晴さんが好き?」
不意に囁かれ、紗耶はどきりと紫織を見上げた。
「え?」
「…紗耶ちゃんの初恋の王子様なのかな…て。
大丈夫よ、千晴さんやお父様には言わないから」
長い睫毛を瞬き、仄かに謎めいた微笑みを浮かべる紫織は、どこか美しい預言者めいて見えた。
「…そ、そんなこと…ない…。
千晴お兄ちゃまは…親戚だし…。
それに第一…私なんか…まだまだ子どもだし…お母様みたいに美人じゃないし…千晴お兄ちゃまの周りにはきっとたくさんの綺麗で素敵な女性がいらっしゃる…。
…私なんか…」
…慌てて否定しても口から零れ落ちる言葉は、すべて千晴への恋する想いに溢れてしまう。
恥ずかしくて俯いてしまう紗耶に…
「…紗耶ちゃん…」
紫織が、嫋やかな仕草で紗耶の髪を撫でる。
「…紗耶ちゃんはとても可愛いわ。
千晴さんは、きっと貴女の良さを理解してくださっている…。
…初恋を…諦めてはだめよ…」
…紫織の言葉は、しっとりと匂いやかな呪いのように紗耶の鼓膜に絡みつき…染み入っていった。