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異邦人の庭 〜secret garden〜
第9章 ガブリエルの秘密の庭 〜甘く苦い恋の記憶〜
「…オリジナル…アロマ?」
「うん。大学で企業から依頼された新しい香料の研究をしていたんだ。
香水や石鹸なんかに使われる香料をね」
「…すごいわ…!
じゃあ、シャネルとかディオールとかゲランとか有名なブランドの香水の研究もされていたんですか?」
「いや、僕はまだまだ下っ端だったから、直接関わっていたわけではないよ。
香料は本当に星の数ほどあるからね。その中でも、オリエンタルな…しかもまだ余り知られてないような未知数の香料の研究をしていたんだ」
「コロンビア大学にはどれくらいいらしたんですか?」
…この人のこと、もっと知りたい…。

「日本の大学院を卒業してからだから…2年弱くらいかな…。
…本当はもっと残って色々な研究をしたかったんだけどね…」
端正な横貌が寂しげな色を帯びる。
紫織のまだ知らぬ藤木の一面が密やかに現れる。
…もっとアメリカに居たかったのに、なぜ日本に戻って来たのかしら…。

少し重くなった雰囲気を変えるように、藤木が明るく笑った。
「…で、自分が研究していた香料を使ってオリジナルのアロマをテスト的に作ったんだ。
日本人に合うように、日本古来の花や日本の四季や湿気…なんかも考えて配合したんだよ。
日本の企業にも依頼されたことがあったからね…。
それを自分用に作って、帰国するときに持ち帰ったんだ。
それを時々使ってる」

「…へえ…。アロマって、自分で作れるんですね…」
香水やアロマは買うものだと思っていた。
父はよく紫織に海外土産に香水を買ってきてくれたし、母は香道を学んでいることもあり、家中に香を薫いていた。
だから薫りは身近なものではあったが、自分でオリジナルなものを作れるとは思わなかった。

「今、欧米ではアロマテラピーが流行っているんだよ。
ハーブや花や様々な香料を使って香油を作って、ただ薫りを楽しむだけじゃない。
薫りには精神を安定させたり、更に言えば体や心の病を治す作用もあると医学的にもきちんと認められているんだ」

「…ヘえ…」
…アロマテラピーか…。
初めて聴いた…。
藤木の話に感心していると、榛色の瞳が紫織を優しく見つめていた。

「…そう言えば、北川さんは良い薫りがするね。
…これは…お香の黒方だね…。
若い女の子には珍しい…」
眼が合い、体温が一瞬にして上がる。
心臓の鼓動が早くなり、紫織はきゅっと両手を握り締めた。



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