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異邦人の庭 〜secret garden〜
第9章 ガブリエルの秘密の庭 〜甘く苦い恋の記憶〜
「…ねえ、カヨさん。
明日から、私も一緒にお弁当作る。
作り方…教えてくれる?」
帰宅するなり紫織は、ハウスキーパーのカヨに頼み込んだ。
「…それからお弁当箱、もうひとつ用意してもらえる?」

カヨはおやおやと驚いた貌をしながら、やがてにこにこ笑って声を潜めた。

「紫織さん、どなたか好きな男の子ができたんですか?」
「え?」
「若い乙女がわざわざお弁当を作るとなったら、恋しい人のためと相場は決まっておりますよ」
したり顔でカヨはうんうん頷く。
「ち、違うわよお…!
やだ!カヨさんてば、勘ぐりすぎ!」
紫織は赤くなりながら、カヨの肉厚な肩をばしばし叩いた。

「ふふふ…。
まあ、そういうことにしときましょ。
じゃあ、明日から少し早起き、頑張ってくださいよ」
丸い眼を優しく細めてカヨは笑った。

「うん!頑張る!」
紫織は元気よく頷いた。
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