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異邦人の庭 〜secret garden〜
第9章 ガブリエルの秘密の庭 〜甘く苦い恋の記憶〜
「…京都の曄子叔母様がお見えですよ」
帰宅した紫織に、家政婦のカヨが声を潜めて告げた。
…紫織の心が一気に重くなる。

曄子とは、母、蒔子の一番上の姉だ。
五十半ばをすぎているが独身のまま、蒔子の実家で茶の湯の教師をしている。
年に何度か上京するときに、紫織の家に寄ることがあるのだが、とにかく蒔子とよく似て厳格で冷ややかでにこりともしない。

礼儀作法や言葉遣いに酷く厳しく、幼い紫織でも間違ったことをすると容赦なく叱咤された。
「京都の曄子叔母様」
と枕言葉に付くと、それは紫織にとって恐怖と憂鬱の象徴であった。

…高校生になった紫織には、もはや恐怖ではないが、憂鬱であることは間違いなかった。

紫織はため息を吐いた。
「…曄子叔母様はどちらに?」
「お母様と離れのお茶室におられます…」
蒔子の持参金で建てた茶室は、蒔子の城のようなものであった。
…ひんやりと冷たく、暗い、孤独の城…。

「…ご挨拶してくるわ…」
帰宅したのに挨拶もしなかったとあとで分かると、どれだけ辛辣に蒔子に叱られるか火を見るよりも明らかであったからだ。

「はい…。紫織さんが余りにお綺麗にご成長されて、曄子様は驚かれますよ」
陽気なカヨの優しい励ましの言葉を背中に紫織は制服のまま、足取り重く、離れに向かったのだった。
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