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異邦人の庭 〜secret garden〜
第9章 ガブリエルの秘密の庭 〜甘く苦い恋の記憶〜
…優しく、誠実な口づけが心を込めて与えられ、そっと離された…。
緊張の余り硬く眼を閉じている紫織に小さく微笑むと、魔法を解くかのように額に慈しみのキスを与え、藤木は穏やかに告げた。

「…今日はここまで」
「え?」
思わずぱっちりと瞼を開けた紫織に、やや澄まして男は答えた。
「…勉強と一緒だよ。
いきなり一気に詰め込むと全てが未消化になってしまうだろう?
キスも恋愛もスモールステップが大切なんだよ」
「…スモールステップ…て、そんな…」
不服そうな紫織を残し、藤木は再びキッチンに入ってゆく。

「制服が乾くまでまだ少しかかる。
…まずはお家に連絡して…それから温かいものを飲もう」
「…はあ…」
呆気に取られて、立ち竦む。
キッチンの中から、藤木が優しく微笑んだ。

…その微笑みに、きゅんとときめきながらも…

…やっぱり、よく分からないひとだわ…。

紫織は小さくため息をつくのだった。

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