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異邦人の庭 〜secret garden〜
第9章 ガブリエルの秘密の庭 〜甘く苦い恋の記憶〜
「まずはお家に電話しなさい。
いきなり飛び出して来たんだ。心配しているよ」
「…私を心配するひとなんて、いないわ…。
お父様はドイツに出張中だし…」
…どうせ、お母様は曄子叔母様にお父様の恨みつらみの愚痴を言い募っているのだ。
私のことなんか…。
先ほどの母の言葉のこともあり、紫織は素直に藤木の言うことを聴く気になれなかった。
「本当に?
君を心配してくれるひとは一人もいないの?」
藤木の言葉に思い浮かんだのは…
「…カヨさん…。家政婦さんが…」
小さな頃から、カヨは血の繋がった祖母のように紫織を可愛がり、何くれとなく世話を焼いてくれた。
母から受けられない愛情を、カヨがたっぷりと補ってくれたのだ。
…カヨさん…。私が急にいなくなったから心配しているかも…。
藤木が和かに笑い、静かに促した。
「早く電話して、安心させてあげなさい」
紫織はようやく素直に頷いた。
いきなり飛び出して来たんだ。心配しているよ」
「…私を心配するひとなんて、いないわ…。
お父様はドイツに出張中だし…」
…どうせ、お母様は曄子叔母様にお父様の恨みつらみの愚痴を言い募っているのだ。
私のことなんか…。
先ほどの母の言葉のこともあり、紫織は素直に藤木の言うことを聴く気になれなかった。
「本当に?
君を心配してくれるひとは一人もいないの?」
藤木の言葉に思い浮かんだのは…
「…カヨさん…。家政婦さんが…」
小さな頃から、カヨは血の繋がった祖母のように紫織を可愛がり、何くれとなく世話を焼いてくれた。
母から受けられない愛情を、カヨがたっぷりと補ってくれたのだ。
…カヨさん…。私が急にいなくなったから心配しているかも…。
藤木が和かに笑い、静かに促した。
「早く電話して、安心させてあげなさい」
紫織はようやく素直に頷いた。