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異邦人の庭 〜secret garden〜
第9章 ガブリエルの秘密の庭 〜甘く苦い恋の記憶〜
「紫織?どしたどした?」
のんびりと電話口に出たのは、生徒会のメンバー仲間の美加だ。
…暁星の生徒に告白し、一瞬だけ付き合ったのだが
『君とはどうも感性が合わない』
と、電光石火の如く振られ、ブチギレながら紫織に夜中に電話を掛けてきたことがあるのだ。
…一晩中慰めてやった恩義があるはずだ。

「…あのね、悪いんだけど、今夜美加の家に居たことにしてもらいたいの。
…ないとは思うけど、母が電話で確認してくるかもしれないから…」
蒔子はたまに抜き打ちのようにアリバイを確認する刑事の如く紫織の友だちに電話をすることがあるのだ。
…愛してはいないくせに、娘に男の影がチラつくのを神経症的に忌み嫌う性分があった。

「…ははあ〜ん…。
オトコか…」
美加が鋭く指摘した。
「…まあね…」
カウンターキッチンの藤木を振り返る。
…電子レンジに向かい何か作業をしている様子が見て取れた。

相変わらず猫背だけど、今日は寝癖がない。
…そう言えば、珍しくスーツを着ていた…。
どこに行っていたんだろう…。

上着やネクタイを取り、青いストライプのシャツを腕まくりしている様はとても精悍で…いつもの白衣姿とは趣きが異なり、どきどきした。

「リョーカイリョーカイ!
紫織と私は生徒会の残業していたことにするよ。
ママにも言っとく。
大丈夫!うちのママ、すんごい大らかだから。
紫織のこと、めっちゃ気に入ってるし。
『紫織ちゃんの恋路ならアタシも味方しなきゃ!』てなもんよ」
「…ありがとう…」
美加の母親は築地の老舗料亭の女将だ。
江戸っ子らしく気風が良く友だち母娘みたいに仲の良い二人が、紫織は密かに羨ましかった。

「…なんか嬉しいな…」
美加がしみじみと呟いた。
「え?」
「…紫織ってさ、超超美人で頭良くて大人でいつも優しくて…嫌な貌ひとつしないで皆んなの世話焼いて…でも、全然タカビーじゃなくてさ、完璧なスーパーガールだと思ってたからさ…。
…だからそんな紫織がいきなり恋愛のアリバイ工作頼みに私に電話くれてさ…。
…なんか嬉しいよ…。甘えてもらえて…」
「…美加…」
胸の奥がじんわりと温かくなる…。
…甘えさせてくれるひと、ここにもいたんだ…。

「彼氏にヨロシク!
…気が向いたら紹介してよね。
紫織をゲットした超ラッキーボーイをさ!」
…そう言って美加は、受話器越しに陽気に笑ったのだった。


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