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異邦人の庭 〜secret garden〜
第2章 ブルームーンの秘密
徳子はレースの白手袋の手を洗練された仕草で組み、生き生きと語り出した。
「…それだったら、ピエール・ド・ロンサールはいかが?
ふんわりと白とピンクの華やかな蔓薔薇よ。
若い夢見がちな乙女の窓辺にはぴったり。
…でも素朴な野バラや蔓サマースノーも捨て難いわね。
ああ、そうだわ。紗耶さんにはコーネリアがぴったりだわ。
如何にも可愛らしい薄ピンクの薔薇よ。
秋口まで返り咲くし、冬には薔薇の赤い実を野鳥がついばみにきてくれるのよ。
その光景の愛らしさといったら…格別よ。
貴女には可憐な小さな蔓薔薇の花が似合いそうだし。
コーネリアはムスクのような良い薫りが楽しめるの。
夜、窓を開けて眠ってご覧なさい。
薔薇の精の夢が見られるわ。
…それから窓辺に白い蔓薔薇を這わせるとね、お部屋の中がぽうっと灯りが灯ったかのように明るくなるの。
それがとてもロマンチックなのよ」
「…素敵…!
やってみたい!見てみたい!」
思わず小さく叫ぶ紗耶に、徳子は驚いたように眼を丸くした。
「あらまあ。
貴女がそんなに元気な声を出すところを初めて見たわ」
紗耶は頰を赤らめて慌てて詫びる。
「も、申し訳ありません!乱暴な言葉を…」
「…いいえ、とてもチャーミングよ」
徳子は少し悪戯めいた眼差しでウィンクをした。
…けれどすぐに元の、誰もが平伏するような強い獅子のような高慢な表情に戻り、ブルーフラワーのロイヤルコペンハーゲンの茶器を持ち上げた。
「…まあ、貴女も少しは成長されたのかしらね」
「…大お祖母様…」
ふと視線を感じ首を巡らすと、千晴が優しく微笑み、紗耶に頷いていた。
隣の席の紫織が嬉しそうに瞬きしてみせた。
…大好きなお母様と千晴お兄ちゃまが喜んでくださっている…!
紗耶の胸のうちは幸福の薔薇が一斉に咲き誇るように晴れやかになり、二人に向かって精一杯笑い返したのだった。
「…それだったら、ピエール・ド・ロンサールはいかが?
ふんわりと白とピンクの華やかな蔓薔薇よ。
若い夢見がちな乙女の窓辺にはぴったり。
…でも素朴な野バラや蔓サマースノーも捨て難いわね。
ああ、そうだわ。紗耶さんにはコーネリアがぴったりだわ。
如何にも可愛らしい薄ピンクの薔薇よ。
秋口まで返り咲くし、冬には薔薇の赤い実を野鳥がついばみにきてくれるのよ。
その光景の愛らしさといったら…格別よ。
貴女には可憐な小さな蔓薔薇の花が似合いそうだし。
コーネリアはムスクのような良い薫りが楽しめるの。
夜、窓を開けて眠ってご覧なさい。
薔薇の精の夢が見られるわ。
…それから窓辺に白い蔓薔薇を這わせるとね、お部屋の中がぽうっと灯りが灯ったかのように明るくなるの。
それがとてもロマンチックなのよ」
「…素敵…!
やってみたい!見てみたい!」
思わず小さく叫ぶ紗耶に、徳子は驚いたように眼を丸くした。
「あらまあ。
貴女がそんなに元気な声を出すところを初めて見たわ」
紗耶は頰を赤らめて慌てて詫びる。
「も、申し訳ありません!乱暴な言葉を…」
「…いいえ、とてもチャーミングよ」
徳子は少し悪戯めいた眼差しでウィンクをした。
…けれどすぐに元の、誰もが平伏するような強い獅子のような高慢な表情に戻り、ブルーフラワーのロイヤルコペンハーゲンの茶器を持ち上げた。
「…まあ、貴女も少しは成長されたのかしらね」
「…大お祖母様…」
ふと視線を感じ首を巡らすと、千晴が優しく微笑み、紗耶に頷いていた。
隣の席の紫織が嬉しそうに瞬きしてみせた。
…大好きなお母様と千晴お兄ちゃまが喜んでくださっている…!
紗耶の胸のうちは幸福の薔薇が一斉に咲き誇るように晴れやかになり、二人に向かって精一杯笑い返したのだった。