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異邦人の庭 〜secret garden〜
第10章 ビーカーとマグカップ 〜甘く苦い恋の記憶〜
「まあまあ、ほんまにずぶ濡れやねえ。
澄佳ちゃんのおばあちゃんに電話で聞いた通りや。
二人して海に落ちたんやて?
…さあさあ、上がりんさい。ああ、まずはお風呂やな。
ほら、父ちゃん!涼太!ぼ〜っと別嬪さんとイケメンさんに見惚れとらんで早よ風呂に案内しい!
風邪、引かれてまうわ」
きびきびと明るい民宿の女将が二人を温かく出迎えてくれた。

「すみません。こんななりで伺って…」
藤木が無礼を詫びると、民宿の女将が陽気に笑って手を振る。
「ええんですよ。ここは気の置けない民宿やから…。
皆さん海水浴してそのまま上がられますもん」
…それに…と温かい口調で付け加えた。

「…昔、ここらにお住まいやったそうですね?
澄佳ちゃんのおばあちゃんが言ってはりました。
そんならあたしらの親戚みたいなもんですからねえ。
袖すり合うも他生の縁や。
気にせんとごゆっくり泊まって言ってくださいな」


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