この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
異邦人の庭 〜secret garden〜
第2章 ブルームーンの秘密
「…そう…。紗耶の父親よ…。
大切なひとだわ…」
紫織が苦しげに千晴の腕を振り払う。
そのまま背を向けた紫織の足元に千晴が跪き、裾の長い白く美しいシフォンのスカートに愛おしげに頰を寄せる。
…まるで、古いお伽話の騎士が麗しい王妃に求愛するかのように…。

「…紫織さん…!
では僕を愛していると言ってください。
貴女のその言葉だけで僕はこれから貴女だけを思い、生きて行きます」
「…千晴さん…離してください…」
困惑して下を向いた紫織の視線を、千晴は執拗に捉えて離さない。
「…お願いです。愛していると…」
その端麗な横貌を毅然と上げ、熱っぽい眼差しで懇願する。
「…愛していると言ってください」
紫織の長く濃い睫毛が切なげに震える。
その形の良い薄紅色の唇を噛み締め、わざと邪険に千晴の手からスカートを引き離す。

「…さよなら。千晴さん。
もう二度と、こんなことはなさらないで」
別れを告げた掠れた声が…けれどどこか甘く艶めかしい…。

紫織は、マダム・ブランティエの芳醇な花弁とその薫りを撒き散らすように、アーチを駆け抜けて行った。

「紫織さん!待ってください!」
千晴の長駆の影が、素早く紫織を追いかける。

…そうして紗耶はブルームーンの花陰のもと、ひとりぼっちに残されたのだった…。

/789ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ