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異邦人の庭 〜secret garden〜
第10章 ビーカーとマグカップ 〜甘く苦い恋の記憶〜
「すごく美味しいよ、紫織…。
茸もカリフラワーもベーコンも味が染みてる。
ありがとう…」
一生懸命に作ったクリームシチューを、藤木はとても喜んでたくさん褒めてくれた。
「本当?良かった…」
ほっとしながら紫織も口に運ぶ。
カリフラワーはほろりと溶けて、桜チップで燻された厚切りベーコンも香ばしく、ホワイトマッシュルームは茸の風味がきちんと残っていた…。
…うん。合格かな…。
思わず微笑みが浮かぶ。
「お料理は上手し、手先は器用だし、世話好きだし…。
…紫織は今すぐにでもお嫁に行けるね…」
さらりと言われ、マッシュルームが喉に詰まりそうになった。
「…そう…かな…」
俯いて、スプーンを動かす紫織に、静かな一言が掛けられた。
「紫織…」
「なあに?」
貌を上げると、真剣な榛色の端整な眼差しに見つめられた。
「大学を卒業したら、僕と結婚してほしい」
「…え…?」
手からスプーンが取り落とされ、シチュー皿の上で無作法な音を立てた。
「もちろん就職して構わない。
君の好きな進路を選んでいい。
したいことをしていい。
…でも、僕の側にいてほしい。
この先の人生、ずっと…」
茸もカリフラワーもベーコンも味が染みてる。
ありがとう…」
一生懸命に作ったクリームシチューを、藤木はとても喜んでたくさん褒めてくれた。
「本当?良かった…」
ほっとしながら紫織も口に運ぶ。
カリフラワーはほろりと溶けて、桜チップで燻された厚切りベーコンも香ばしく、ホワイトマッシュルームは茸の風味がきちんと残っていた…。
…うん。合格かな…。
思わず微笑みが浮かぶ。
「お料理は上手し、手先は器用だし、世話好きだし…。
…紫織は今すぐにでもお嫁に行けるね…」
さらりと言われ、マッシュルームが喉に詰まりそうになった。
「…そう…かな…」
俯いて、スプーンを動かす紫織に、静かな一言が掛けられた。
「紫織…」
「なあに?」
貌を上げると、真剣な榛色の端整な眼差しに見つめられた。
「大学を卒業したら、僕と結婚してほしい」
「…え…?」
手からスプーンが取り落とされ、シチュー皿の上で無作法な音を立てた。
「もちろん就職して構わない。
君の好きな進路を選んでいい。
したいことをしていい。
…でも、僕の側にいてほしい。
この先の人生、ずっと…」