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異邦人の庭 〜secret garden〜
第11章 ミスオブ沙棗の涙 〜甘く苦い恋の記憶〜
丁寧に運ばれてきた料理は伊勢海老をメインにした伊豆半島で採れる豊かな海の幸のコースだった。

伊勢海老をふんだんに使ったビスクスープは和洋折衷な深い味わいで、思わず眼を見張るほどの美味しさだった。
シンプルな伊勢海老の岩塩焼きや天麩羅、伊勢海老のグラタン、贅沢な伊勢海老の茶碗蒸し、伊勢海老の味噌をベースにして炊き上げた土鍋ご飯のほかに、下田港に今朝水揚げされたばかりの新鮮な鯵と金目鯛の刺身とサザエの壷焼きまで、二人は賑やかにお喋りを楽しみながら伊豆の海の幸を堪能した。

「もう、食べられない…!
絶対に太ったわ…!」
紫織は思わず悲鳴をあげた。
けれど、そのあと運ばれて来たデザートの下田蜜柑と甘い甘王苺で作られた特製フルーツパフェは
「別腹だわ」
とペロリと平らげ、藤木を笑わせた。

「…何をしても紫織は可愛いな」
榛色の瞳を優しく細めて臆面もなく紫織を褒める藤木は、どんなデザートよりも極甘なのだと、紫織は頰を染めるのだった。
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