この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
異邦人の庭 〜secret garden〜
第11章 ミスオブ沙棗の涙 〜甘く苦い恋の記憶〜
「…もしかして、妬いてるの?」
手摺につかまり、貌を覗き込む。
「…そうさ。めっちゃくちゃ妬いてるさ。
君に無条件に近づける男たちに、はらわたが煮え繰り返ってる」
半分冗談、半分本気のような口調と眼差しに、胸がきゅんと締め付けられる。

「君は誰の眼も惹く大変な美人だし、どこかしっとりとした華や優美さが備わっている。
見た人を捉えて離さない不思議な魅力がある。
僕みたいな冴えない高校教師には、もったいないといつも思っているよ。
いつだって、君を独占したくて仕方がない」
藤木の手がそっと紫織の頰に触れる。

…晴れていても12月だ。
風はとても冷たいので、遊覧船の二階のデッキに出ている観光客はほかにいない。
だからそんな大胆な仕草が出来るのだろう。

その手に手を重ねる。
「…独占して…。
ずっとずっと…一生…。
先生が私を独り占めして…」

ふわりと微笑む唇をそっと奪われた。
…まるで冷たい海風から紫織を守るような優しい仕草だった。

「…君は男殺しだな…」
苦笑まじりの熱い眼差しに、甘く切ない心のときめきは止まらない。
…さっき、はしたないくらいに淫らに求め合ったのが嘘のようだ。

「…私は先生だけを虜にしたいわ」
潤んだ瞳で見上げると
「…もうとっくに君の虜だよ。
僕は哀れな恋の奴隷だ…」
少し芝居掛かった言葉に、紫織は男の頰をつねる。
「もう。大げさ!」
二人は眼を見合わせ、くすくす笑い出す。
藤木は紫織を胸に深く抱き込んだ。
そうして、冬の午后の太陽にきらきらと輝き白い波飛沫を上げる海に視線を向けた。

「…景色も見なきゃね…」
照れたような藤木の頰を、白い人差し指でつっつく。
「ほんと…。もったいないわ…」

…そう言いながらも、二人はまた見つめ合ってしまうのだ…。






/789ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ