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異邦人の庭 〜secret garden〜
第11章 ミスオブ沙棗の涙 〜甘く苦い恋の記憶〜
遊覧船はゆっくりと港内にある歴史的スポットをいくつも巡った。
…吉田松陰が密航を企てた際に隠れていた弁天島やペリー艦隊が上陸する際に投げられた錨の地点…。
そして沖からは下田の街並みが一望でき、存分にその景観を楽しめた。

コンパクトにまとまった船旅に、二人はずっと身体を寄せ合い手を握ったまま、無邪気に笑い声を立てたり、眼を見張ったりした。

「…下田って幕末の歴史ロマンが一杯だわ。
本当に良いところね」
紫織は遊覧船のアナウンスを聴きながら感心した。
沖から吹く潮風に、紫織のポニーテールがさらさらと靡く。
優しく撫で付けてやりながら、藤木が自分の首から外したバーバリーのマフラーを紫織の首に巻きつけた。
「風邪を引くといけない」

紫織は嬉しげに瞬きをした。
「…ありがとう。
…ねえ、先生。…このマフラー、もらってもいい?」
藤木が意外そうにしながらも
「もちろん。
…でも、どうせなら新品がいいでしょう?
新しいものを買ってあげるよ」
と、提案する。

紫織は慌てて首を振った。
「違うの。このマフラーがいいの。
大切にするわ…。
…ありがとう…」
マフラーをぎゅっと握りしめ、俯いた。
…深い深い森に咲く百合と、ひんやり湿ったモッシーの薫りに抱かれる…。

藤木が紫織の白く清らかな額にキスを落とした。
「…冷たいね…。
早くまた温めてあげたい…」

先刻の愛の情事が蘇り、紫織の体温は一気に上がった…。

遊覧船はゆっくりと港に接岸しようとしていた…。
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