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異邦人の庭 〜secret garden〜
第11章 ミスオブ沙棗の涙 〜甘く苦い恋の記憶〜
「…やれやれ…。
昔からおしゃべりで賑やかな奴でね。
煩くてごめんね」
穏やかに笑う藤木に首を振り…けれど、気掛かりなことをそっと尋ねてみる。
「…あの…先生のお母様って…ご体調は大丈夫なの?」
「ああ。心配はいらない。大したことないんだ。大丈夫だよ」
紫織の心配を払拭させるように優しく微笑み、ナプキンを広げた。

「堂島のお母様と僕の母親はたまたま大学関係の句会のサークルで知り合って、仲良しになったんだ。
だから色々と心配してくれるんだよ。
…さあ、せっかくの貸切だ。
クリスマスディナーを楽しもう。
…どんなご馳走かな…。
紫織の好きなものだといいね」
にこやかに囁かれ、紫織は小さく微笑み頷いた。

…先生がそう言うならきっと大丈夫よね…。

そう自分に言い聞かせ、紫織はテーブルに置かれた上質な和紙のメニューを取り上げた。


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