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異邦人の庭 〜secret garden〜
第11章 ミスオブ沙棗の涙 〜甘く苦い恋の記憶〜
…ディナーはこじんまりとしたコテージのダイニングと思えないほどにクオリティの高い正統派フレンチだった。
シェフはペニンシュラ東京でスーシェフまで勤めた人物だそうだ。

…前菜はキャビアをそば粉のブリニに包んだもの。
スモークサーモンとずわい蟹のミルフィーユは見た目もとても綺麗だった。
鮑のステーキは肝とワインを和えた濃厚なソースがかかっていた。
黒毛和牛のステーキには無花果とフォンドボーソースが添えられており、とても香り高く美味しかった。

「すごく美味しいわ…」
紫織の素直な感想に、藤木が優しく微笑んで応えた。

柔らかな琥珀色のキャンドルが灯されるテーブルで、大好きな恋人と過ごせる幸せを、紫織は改めて噛み締めていた。

…パティシエの心のこもったブッシュドノエルを食べ終わる頃、少し悪戯めいた表情で、藤木が切り出した。

「…実は紫織にクリスマスプレゼントがあるんだ…」

紫織は長い睫毛を瞬かせた。
「…私もよ…」

二人は貌を見合わせて、幸せそうに笑った。
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