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異邦人の庭 〜secret garden〜
第11章 ミスオブ沙棗の涙 〜甘く苦い恋の記憶〜
「…先生…」
「…うん?」

…外は音もなく雪が降り積もる。

…温かなベッドの中…シーツに包まり、紫織は男の逞しい腕の中から問いかける。
少し恥じらいつつ、真っ直ぐに藤木を見つめて告げる。

「…いつか…先生の子どもが産みたいわ…」
藤木がふっと柔らかく微笑む。
「僕の子ども…?」
「ええ…」

…藤木はずっと避妊をしているから、このひとの子どもを授かることはない…。
紫織の身体を大切にしてくれていることは、とても嬉しいことだけれど、少し寂しい…。
…高校生の自分が今、妊娠するわけにはいかないけれど…。

「…結婚したら、すぐ欲しい?」
シーツごと紫織を抱き寄せ、藤木が額を合わせる。
「…欲しいわ。
私、良いお母さんになりたいの。
子どもが生まれたら、うんと可愛がって大切に大切に育てるわ」
「…紫織は優しい良いお母さんになるよ。きっと…」
そのまま額にキスを落とし、抱き竦める。
「…そうだね…。
子どもは欲しいね。できればたくさん…」
「…ええ…。
先生に似た男の子がいいわ」
…榛色の綺麗な瞳の男の子…。
それはどんなに素敵なことだろう…。
「僕は紫織にそっくりな女の子がいい。
…きっとすごく可愛いだろうな…」
…夢のような話を、ピロートークで繰り広げる。

「…いつか…そんな日が来るといいな…」
微かな哀しみのような…諦観のような、不可思議な色が滲んだ言葉だった。

紫織はほんの少しだけ不安になり、それを払拭するように藤木に抱きつく。

「来るわ…。
私…きっと良いお母さんになるわ…」
藤木が紫織の髪を撫でた。
「…大丈夫…。
君は必ず良いお母さんになるよ…」

…さあ、ゆっくり眠りなさい…。
シーツを肩に掛けられ、すっぽりと男の胸に抱きしめられる。

「…メリー・クリスマス…。紫織…」
静かな優しい声が、鼓膜を震わせる。

…こんなにも幸せなクリスマスは、生まれて初めてだった。

「…メリー・クリスマス…。
…先生…」

…愛しているわ…。

眠りに落ちる前に口にした言葉は、そのままキスにと形を変えた。

…だから…

…「愛しているよ…。
…僕の真実は、それだけだ…」

…男の言葉が夢か現か、もはや定かではなかったのだ…。





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