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異邦人の庭 〜secret garden〜
第11章 ミスオブ沙棗の涙 〜甘く苦い恋の記憶〜
紫織が強引に連れて来られたところは、母屋ではなく母がいつも暮らす離れだった。
奥座敷に押し込められると鍵をかけられた。

「開けて!お母様!開けて!」
携帯電話も財布もすべて取り上げられた。

「ここでおとなしくしていなさい。
貴女を守るためなのよ。
何をそんなに暴れるのです」
冷ややかに見下す蒔子に紫織は叫ぶ。
「守る?一体何から守ると仰るの?
お母様はおかしいわ。
私と藤木先生は愛し合っているの。
お母様は自分勝手な妄想をしているだけだわ。
ここから出して!
先生に会わせて!」

「お黙りなさい!」
縋り付く紫織を邪険に突き飛ばし、蒔子は忌々しそうに唇を歪める。
「穢らわしい…。
何が愛ですか。
何て醜悪な下劣な愛かしら。
馬鹿な男に騙された浅はかな娘のくせに…。
貴女のような愚かな女の子はお母様の言う通りにしていれば良いのです。
ここでおとなしく頭を冷やしなさい」

そう冷酷に言い放つと鍵をかけ、蒔子は去って行ったのだった。
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