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異邦人の庭 〜secret garden〜
第11章 ミスオブ沙棗の涙 〜甘く苦い恋の記憶〜
見上げる先にいたのは…。

「…先生…!」
紫織は叫んだ。

…黒いカシミアのコートにはうっすらと粉雪が降り積もっていた。
その首には、紫織がプレゼントに渡した榛色のマフラーが巻かれていた。
紫織は、身体中の力が抜けるほどに安堵する。
「先生…!」

紫織の呼びかけに、藤木がゆっくりと振り向く。
…その端整な貌は蒼ざめ表情は硬く、感情を読み取ることはできなかった。

「…先生!良かった…無事だったのね…!」
思わず溢れでる本音…。

「…紫織…」
藤木が苦しげに眉根を寄せ、紫織に脚を踏み出した時…

蒔子がソファからゆらりと立ち上がり、藤木に近づいた。
その一重の釣り上がった眼を眇めて見せる。
「貴方ですね。藤木芳人さん。
貴方が紫織さんに無理やり関係を迫ったのですね?
そうして、クリスマスイブに旅行にまで連れ出して破廉恥な行為をさせて…」
「やめて!お母様!
違うと何度言ったらわかるの⁈
私たち、お互いに愛し合っているのよ。
先生が無理強いしたことなんか一度もないわ!
私たち、結婚するの!
私が大学を卒業したら…」
藤木に駆け寄ろうとする紫織を、蒔子の冷たく細い手が強く掴んだ。

「結婚?
まだ騙されていることに気づかないのですか?」
蛇のように執拗に、蒔子の指が絡みつく。

「紫織さん」

…そうして、蒔子の冷ややかな低い声が侮蔑するように…微かな笑みを含んで告げたのだ。

「…他の女と婚約している男と、どう結婚するのですか?」
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