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異邦人の庭 〜secret garden〜
第11章 ミスオブ沙棗の涙 〜甘く苦い恋の記憶〜
「…そんなの嘘だわ!
信じない!信じられないわ!」
藤木に振り向きざま強く腕を掴まれ、壁に押しつけられた。
…紫織の大好きな美しい榛色の瞳が、侮蔑の色を含み笑っていた…。
「馬鹿だな、君は。
まんまと僕に騙されたんだよ。
…綺麗で優秀で健気で…けれど世間知らずで男に全く免疫がない。
そんな君を僕は利用したんだよ。
君の身体を僕に溺れさせるのはとても簡単だった…」
男の手が、酷い言葉とは裏腹に優しく紫織の髪を撫でる。
「…美しく清楚な君の身体を、淫らに変えてゆくのは楽しかった…。
…いや、君もセックスを楽しんだだろう?
フィフティフィフティで、いいじゃないか」
男の長い指が紫織の震える貌を掴み、引き寄せる。
戯れにキスをするような…そんな軽んじた表情に、紫織は抗う。
「…い…や…先生…」
もがく紫織を、藤木が乱暴に突き飛ばす。
脚が縺れ、紫織は広いフローリングに倒れ込んだ。
激しい音が鳴り響く。
「…痛っ…」
紫織の呻き声に藤木は一瞬、息を呑む。
咄嗟に紫織に走り寄り…けれど何かに堪えるように拳を握りしめ、再び背を向けた。
「さっさと帰れ。
…こんな酷い男のことなど、早く忘れるんだ」
隣室へと歩き始めた男に叫ぶ。
「私、学院を辞めさせられるの!
京都に行かされるの!お母様の命令よ…」
藤木の脚が止まる。
「…もう、二度と先生に会えないわ…。
…だから…せめて…真実を教えて…」
…先生は…本当に私を愛してはいなかったの…?
弱々しい声が、しんと静まり返った部屋に哀しく響いた。
暫く藤木は、身動ぎもしなかった。
…けれどやがて、ゆっくりと歩き出し隣室の扉に手を掛け、無機質な声で言い残した。
「…僕のことは忘れろ。
こんな卑劣で最低な男のことなど…君の人生に跡形も残してはならない」
そののち、紫織の鼓膜を震わせたのは、扉が閉まる冷たい音だけだった。
信じない!信じられないわ!」
藤木に振り向きざま強く腕を掴まれ、壁に押しつけられた。
…紫織の大好きな美しい榛色の瞳が、侮蔑の色を含み笑っていた…。
「馬鹿だな、君は。
まんまと僕に騙されたんだよ。
…綺麗で優秀で健気で…けれど世間知らずで男に全く免疫がない。
そんな君を僕は利用したんだよ。
君の身体を僕に溺れさせるのはとても簡単だった…」
男の手が、酷い言葉とは裏腹に優しく紫織の髪を撫でる。
「…美しく清楚な君の身体を、淫らに変えてゆくのは楽しかった…。
…いや、君もセックスを楽しんだだろう?
フィフティフィフティで、いいじゃないか」
男の長い指が紫織の震える貌を掴み、引き寄せる。
戯れにキスをするような…そんな軽んじた表情に、紫織は抗う。
「…い…や…先生…」
もがく紫織を、藤木が乱暴に突き飛ばす。
脚が縺れ、紫織は広いフローリングに倒れ込んだ。
激しい音が鳴り響く。
「…痛っ…」
紫織の呻き声に藤木は一瞬、息を呑む。
咄嗟に紫織に走り寄り…けれど何かに堪えるように拳を握りしめ、再び背を向けた。
「さっさと帰れ。
…こんな酷い男のことなど、早く忘れるんだ」
隣室へと歩き始めた男に叫ぶ。
「私、学院を辞めさせられるの!
京都に行かされるの!お母様の命令よ…」
藤木の脚が止まる。
「…もう、二度と先生に会えないわ…。
…だから…せめて…真実を教えて…」
…先生は…本当に私を愛してはいなかったの…?
弱々しい声が、しんと静まり返った部屋に哀しく響いた。
暫く藤木は、身動ぎもしなかった。
…けれどやがて、ゆっくりと歩き出し隣室の扉に手を掛け、無機質な声で言い残した。
「…僕のことは忘れろ。
こんな卑劣で最低な男のことなど…君の人生に跡形も残してはならない」
そののち、紫織の鼓膜を震わせたのは、扉が閉まる冷たい音だけだった。