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異邦人の庭 〜secret garden〜
第11章 ミスオブ沙棗の涙 〜甘く苦い恋の記憶〜
「紫織…!会いたかったよ!!」
蒔子の厳しい監視態勢を、カヨの協力で突破した美加は、紫織の部屋に入るなり、泣きながら抱きついて来た。
…あの日から二週間余りが過ぎていた。
冬休みは終わり三学期が始まっていたが、蒔子が既に転校届けを提出してしまったために、紫織は登校もできなかった。
…友人たち、教師たちに別れの挨拶をすることも叶わなかったのだ。
「…美加…!」
温かな友人の涙が、紫織の肩を濡らす。
美加が子どものように泣きじゃくる。
「…転校するって本当?
嫌だよ、紫織がいなくなるなんて!
皆んな大騒ぎだよ。
…それに…」
美加が言い淀んだ。
「…もしかして、耳に入ったの?」
美加が涙を拭いながら頷いた。
じっと紫織を見つめ、口を開いた。
「紫織…。
…紫織の恋人って、藤木先生だったんだね」
紫織は瞬きをすると、小さく頷いた。
「…そう…。
言えなくてごめんね…」
美加が激しく首を振った。
「良いんだよ。そんなの。
…たださ、皆んな、あることないこと勝手に噂しててさ、あたし、それが悔しくてさ!」
蒔子の厳しい監視態勢を、カヨの協力で突破した美加は、紫織の部屋に入るなり、泣きながら抱きついて来た。
…あの日から二週間余りが過ぎていた。
冬休みは終わり三学期が始まっていたが、蒔子が既に転校届けを提出してしまったために、紫織は登校もできなかった。
…友人たち、教師たちに別れの挨拶をすることも叶わなかったのだ。
「…美加…!」
温かな友人の涙が、紫織の肩を濡らす。
美加が子どものように泣きじゃくる。
「…転校するって本当?
嫌だよ、紫織がいなくなるなんて!
皆んな大騒ぎだよ。
…それに…」
美加が言い淀んだ。
「…もしかして、耳に入ったの?」
美加が涙を拭いながら頷いた。
じっと紫織を見つめ、口を開いた。
「紫織…。
…紫織の恋人って、藤木先生だったんだね」
紫織は瞬きをすると、小さく頷いた。
「…そう…。
言えなくてごめんね…」
美加が激しく首を振った。
「良いんだよ。そんなの。
…たださ、皆んな、あることないこと勝手に噂しててさ、あたし、それが悔しくてさ!」