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異邦人の庭 〜secret garden〜
第11章 ミスオブ沙棗の涙 〜甘く苦い恋の記憶〜
「…紫織が妊娠してたとか、藤木先生と駆け落ちしようとして警察に捕まったとか…。
もう皆んな無責任に噂して酷いんだから!」
美加が憤慨しながら話をする。

紫織は寂しく笑う。
「…そうだったら、どんなに良かったかしら…」
「…紫織…」

「…そんな良い話じゃないわ…。
私は…先生に飽きられて捨てられたの。
私のことは憂さ晴らしだったって…。
…先生は…長野の女医さんと婚約していたの。
もうすぐ…結婚するんですって…。
だから、学校を辞めて諏訪に帰ったの…」
口にすると、あの日の信じ難い衝撃と絶望的な哀しみが蘇り、紫織は口を押さえた。

声を押し殺して泣き出した紫織の肩を、美加が強く抱いた。
そうして、はっきりと強い意志を込めて語り始めたのだ。

「違うよ、紫織。
違うんだよ。
先生は仕方なく結婚するんだよ。
本当は紫織を愛しているのに…!
すごくすごく愛しているのに…!」

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