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異邦人の庭 〜secret garden〜
第12章 ミスオブ沙棗の涙 〜遠く儚い恋の記憶〜
「やっぱり紫織さんでしたか…!
まさかこんなところでお会いできるなんて…。
…あまりにお美しいひとがいて、思わず見惚れてしまったら紫織さんでした」
…大柄で堂々とした体躯に、朗らかな笑みを浮かべた男性的な凛々しい貌立ちは相変わらずであった。
春物のハイブランドのものと思しき明るい色のジャケットにスラックス、如何にも高価そうな洒落た革靴…とその富裕ぶりと身嗜みの良さも変わっていないようだ。
藤木の友人に…しかもあのペンションのオーナーの堂島にいきなり遭遇し、紫織は一瞬、戸惑った。
…堂島は、藤木と紫織が別れたことを知らないのではないかと思ったのだ。
…けれど…。
「…藤木とのことは、本当に残念でした…。
紫織さんと藤木はとてもお似合いの美しいカップルだったのに…」
しみじみとした口調で言われ
「…いいえ…」
…それ以上の言葉は見つからなかった。
そのまま、俯いて黙ってしまう。
そんな紫織を堂島は暫く見つめると、穏やかに切り出した。
「…もし、よろしければこれからお茶でもご一緒できませんか?
紫織さんがお嫌でなければ…ですが…」
…その表情と言葉には、押し付けがましいところは全くなかった。
紫織は少しの躊躇いののち、小さく頷いたのだった。
まさかこんなところでお会いできるなんて…。
…あまりにお美しいひとがいて、思わず見惚れてしまったら紫織さんでした」
…大柄で堂々とした体躯に、朗らかな笑みを浮かべた男性的な凛々しい貌立ちは相変わらずであった。
春物のハイブランドのものと思しき明るい色のジャケットにスラックス、如何にも高価そうな洒落た革靴…とその富裕ぶりと身嗜みの良さも変わっていないようだ。
藤木の友人に…しかもあのペンションのオーナーの堂島にいきなり遭遇し、紫織は一瞬、戸惑った。
…堂島は、藤木と紫織が別れたことを知らないのではないかと思ったのだ。
…けれど…。
「…藤木とのことは、本当に残念でした…。
紫織さんと藤木はとてもお似合いの美しいカップルだったのに…」
しみじみとした口調で言われ
「…いいえ…」
…それ以上の言葉は見つからなかった。
そのまま、俯いて黙ってしまう。
そんな紫織を堂島は暫く見つめると、穏やかに切り出した。
「…もし、よろしければこれからお茶でもご一緒できませんか?
紫織さんがお嫌でなければ…ですが…」
…その表情と言葉には、押し付けがましいところは全くなかった。
紫織は少しの躊躇いののち、小さく頷いたのだった。