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異邦人の庭 〜secret garden〜
第12章 ミスオブ沙棗の涙 〜遠く儚い恋の記憶〜
「…色々手を出しちゃあ辞めて…の繰り返しでね。
採算が取れないとわかると直ぐに撤退するんです。
大赤字にはなってはいないんだけれど…まあ、気が多いのは確かかな。
だから番頭たちにはいつまでもフラフラと落ち着かないって叱られてばかりですよ」
やんちゃな男の子がおじいちゃんたちに叱言を言われているような光景が目に浮かび、紫織は小さく微笑った。
そんな紫織を堂島は相変わらず眩し気に見つめながら、照れ臭そうに笑い返した。
「…そうなんですか…。
でも…いいんじゃないかしら」
温かなカフェ・オ・レのカップを手にしながら続ける。
「…なさりたいことをなさればいいんだと思います。
一度きりの人生ですもの」
…そっと付け加える。
「…あとで後悔するより、ずっといいわ…」
堂島が、はっとしたように眼を見張る。
「…紫織さん…」
…そうして、少し考えたのち紫織を気遣うように口を開いた。
「…藤木の話をしてもいいですか?」
採算が取れないとわかると直ぐに撤退するんです。
大赤字にはなってはいないんだけれど…まあ、気が多いのは確かかな。
だから番頭たちにはいつまでもフラフラと落ち着かないって叱られてばかりですよ」
やんちゃな男の子がおじいちゃんたちに叱言を言われているような光景が目に浮かび、紫織は小さく微笑った。
そんな紫織を堂島は相変わらず眩し気に見つめながら、照れ臭そうに笑い返した。
「…そうなんですか…。
でも…いいんじゃないかしら」
温かなカフェ・オ・レのカップを手にしながら続ける。
「…なさりたいことをなさればいいんだと思います。
一度きりの人生ですもの」
…そっと付け加える。
「…あとで後悔するより、ずっといいわ…」
堂島が、はっとしたように眼を見張る。
「…紫織さん…」
…そうして、少し考えたのち紫織を気遣うように口を開いた。
「…藤木の話をしてもいいですか?」