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異邦人の庭 〜secret garden〜
第12章 ミスオブ沙棗の涙 〜遠く儚い恋の記憶〜
「…本当だ…こりゃ…かなり…キツイな…」
稲荷山山頂へと続く石段を軽やかに登る紫織の後を、息を弾ませながら登ってくる堂島を振り返り、思わず笑う。
「大丈夫ですか?
…伏見稲荷大社に初めて来たひとは大抵、奥社から上までこんなにあるのかって悲鳴をあげるわ。
山頂はまだまだ先よ。
少し休憩しますか?」
「いや、大丈夫。
…紫織さんの前で、みっともないところは見せたくないからね」
「意外に負けず嫌いね」
くすくす笑いだす紫織に、堂島は眼を細める。
「そうなんだ。
…美しい姫君の前では、強く逞しい騎士でありたいからね」
そうして頑強そうな腰に手を当て、愉しげに言った。
「…頑張れそうな秘策を思いついたんだ」
「何?」
堂島のがっしりした大きな手が、紫織の前に差し出された。
「…手を繋いでくれたら、頑張れる」
紫織の美しい瞳が見開かれ…少しの間ののち…
「…いいわ…」
白くほっそりとした手が、そっとその手に重なった。
稲荷山山頂へと続く石段を軽やかに登る紫織の後を、息を弾ませながら登ってくる堂島を振り返り、思わず笑う。
「大丈夫ですか?
…伏見稲荷大社に初めて来たひとは大抵、奥社から上までこんなにあるのかって悲鳴をあげるわ。
山頂はまだまだ先よ。
少し休憩しますか?」
「いや、大丈夫。
…紫織さんの前で、みっともないところは見せたくないからね」
「意外に負けず嫌いね」
くすくす笑いだす紫織に、堂島は眼を細める。
「そうなんだ。
…美しい姫君の前では、強く逞しい騎士でありたいからね」
そうして頑強そうな腰に手を当て、愉しげに言った。
「…頑張れそうな秘策を思いついたんだ」
「何?」
堂島のがっしりした大きな手が、紫織の前に差し出された。
「…手を繋いでくれたら、頑張れる」
紫織の美しい瞳が見開かれ…少しの間ののち…
「…いいわ…」
白くほっそりとした手が、そっとその手に重なった。