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異邦人の庭 〜secret garden〜
第12章 ミスオブ沙棗の涙 〜遠く儚い恋の記憶〜
…項垂れる紫織の頭を、大きな手が優しく撫でた。

「…貌を上げて…紫織さん…」
恐る恐る面を上げるその先に、人懐っこいいつもの笑みを浮かべた堂島がいた。

「謝らなくていいよ。
…俺が勝手に紫織さんに横恋慕したんだから」
「…堂島さん…」
そうして優しい仕草で紫織の涙を拭ってやる。
「…俺はさ、自信満々で傲慢に見えるかもしれないけれど、本当に紫織さんが好きなんだ。
…だけど俺が相手だと紫織さんはずっと藤木を思い出してしまうものね…。
…巡り合わせが悪かったな…」
しみじみと呟かれ、紫織は返す言葉が見つからない。

「…だから諦めるよ」
きっぱりと朗らかに言い、真摯に言葉を続ける。

「でもね、紫織さん」

大きな手が、紫織の乱れた髪を優しく直す。
「…藤木のことを忘れなくてもいい。
好きでいていい。
ずっと胸の奥にしまっていていい。
…彼を忘れずに、紫織さんに相応しいひとと幸せになってくれ。
それだけは約束してくれ」

「…堂島さん…?」
紫織は大きな瞳を見張る。

「君みたいに美しくて賢くて魅力的な女性がずっと一人でいるなんてもったいない。
日本の大損失だよ」
戯けたように笑った。

「…先生を忘れないで…幸せになれるのかしら…?」
…とてもそんな風に思えない…。
少なくとも、今はまだ無理だ…。

「なれるさ。
…俺みたいな男じゃなく…そうだなあ…真面目で誠実なエリートで…そう、何より紫織さんに夢中で大切にしてくれる男がきっと現れる。
…そして可愛い子どもにも恵まれる。
誰もが羨むような家庭を築く。
…俺には未来が視えるんだ」
水晶占いするような手つきをする堂島を見て、紫織は思わず泣き笑いを溢す。
その笑顔を見て、男は嬉しそうに頰を緩めた。

「美人は笑ってなきゃね…」

…そうして、最後にやや色悪な…けれど温かな目配せをして見せた。
「…二十年後、もしも真面目なエリートのダンナに飽きて不倫したくなったらすぐに連絡してくれ。
…それこそ、俺の本領発揮だ」
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