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異邦人の庭 〜secret garden〜
第3章 コンテ・ド・シャンボールの想い人
少し重くなったその場の雰囲気を変えるように千晴が微笑んだ。
「この薔薇は…紗耶ちゃんが活けたのかな?とても綺麗だ」
眼差しで指し示されたのは…
…卓上のバカラのクリスタルの花瓶に活けられたスノーグースの蔓薔薇…。
白いひなげしの花のように可愛らしくて大好きな蔓薔薇だ。
薫りが少ないから料理を邪魔しないと思い、今朝紗耶が活けたのだ。

…どうして分かるのだろう。
紗耶は不思議そうに眼を瞬かせた。

「このスノーグースはうちから株分けしたものだよね。
庭師の森野さんから話は聞いていたよ。
紗耶ちゃんはとても熱心に蔓薔薇の育て方を聞いて、一生懸命世話をしていた…と。
だからとても生き生き綺麗に咲いている。
上手に育ててくれてありがとう。紗耶ちゃん」
褒められて…身体がホットワインを舐めたときのように熱くなる。

「…あ…ありがとうございます…」
…嬉しくて、恥ずかしくて…けれどやはり涙が出そうなほどに嬉しい。

そして、やはり思うのだ。

…私は…やっぱり千晴お兄ちゃまが好き…と…。
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