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異邦人の庭 〜secret garden〜
第12章 ミスオブ沙棗の涙 〜遠く儚い恋の記憶〜
「…でも、叔母様…。
私は…」
答えようとする紫織の手を、曄子は優しく握った。
「…とりあえず、一度会ってみたらどうやの?
会って嫌なら断ったらよろしいやん。
今、急いで断ることないやろ?」
…それに…。

曄子はしみじみした表情で紫織の髪を撫でた。

「…うちも紫織さんがずっと日本にいて、お嫁に行く方がええなあ…。
それならいつでも会えるしなあ…」
今や紫織を手放せないほどに溺愛している曄子にとって、飛び込んできた紫織の縁談はまさに吉報だったのかもしれない。

紫織は曄子の気持ちを切なく思いながら、口唇を引き結び、ゆっくりと切り出した。

「…叔母様…。
二宮様は、私の過去をご存知なのでしょうか?」

曄子の柳眉がぴくりと釣り上がった。

「紫織さん…」

そのひとのことに数年ぶりに触れようとして、口唇が震える。
「…私と…先生とのことをご存知でないから、こんな風に積極的に私をご所望になっているのではないですか?
真実をお知りになったら、私をお嫁様になど望まれるでしょうか?
私は純潔ではありませんし、このことでお母様に学校も辞めさせられました。お母様との仲も冷えきったままです。
調べればすぐに判ることです」

「紫織さん!おやめなさい!」
珍しく曄子が声を荒げて叱責した。

それからすぐに取りなすように、手を握り締め、優しく語りかけた。

「…紫織さん。
今時、若くて綺麗な娘さんに恋愛経験の一つや二つ、あるのが普通ですやろ?
別に事件沙汰になった訳ではないし…。
殊更こちらからお話することではないわ。
…蒔子さんのことは私が上手くお話します。
だからとりあえず、お会いするだけでもしとうみ。
その上でお断りしてもええんやから…。
…ね?」

曄子の温かな手にぎゅっと力が込められた。
だからその手を振り解くことは、紫織にはできなかったのだ。

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