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異邦人の庭 〜secret garden〜
第12章 ミスオブ沙棗の涙 〜遠く儚い恋の記憶〜
飲み物のオーダーを済ませ、ひと息吐くと紫織は改めて政彦を見つめた。

…こうしてみると、二宮政彦はなかなかにスマートな…如何にも良家に育った品の良い青年であった。

略式ということで、ネクタイは締めてはいないが、ツイードの仕立ての良いチャコールグレーのジャケットを羽織り、その下には淡いブルーのオックスフォードのワイシャツ、焦茶色のスラックスも上質なものだ。
黒い革靴はぴかぴかに磨き上げられ…恐らくは銀座の紹介制の老舗店でオーダーした高級品だろう。
腕時計はグランドセイコーSBGR261…。
七十万は下らない…二十代後半になったばかりの若手サラリーマンが身に付けるにはかなり高価な時計だ。
クラシカルな中に高級感が漂うその時計は、政彦にすんなりと似合っていた。
つまりは政彦のいでたちはすべてにおいて派手ではないが、品と知性が感じられるようなものであったのだ。
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