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異邦人の庭 〜secret garden〜
第12章 ミスオブ沙棗の涙 〜遠く儚い恋の記憶〜
貌立ちも如何にも几帳面そうなノンフレームの眼鏡に隠され、地味ではあるが決して悪くはない。
背丈も180センチはある長身で、すらりとしている。
…家柄、財力、学歴、そして一流企業に勤めている経歴。人柄も良さげである。
どう見ても、願ってもない好条件な青年だろう。
山科逸子が
『こんなええ縁談は滅多にあらしまへん』
と力説したのも頷ける。

…けれど…。

ふと、政彦と眼が合う。
政彦のその瞳はどこか夢心地に潤んでいた。

「…お着物もとてもお似合いでしたが、紫織さんはお洋服も素敵ですね」
眩しげな眼差しで、おずおずと褒めるのだ。

…膝丈のストロベリーレッドのタートルネックのニットワンピース。
ガウンタイプのミルク色のコート、足元は臙脂色のショートブーツ。
長い髪は綺麗に巻いてあるが、大学に行くようなカジュアルな服装だ。
殊更褒められるような格好ではない。

「…普段はこんな感じなんです。
学校に行く時はもっとラフな格好です。
セーターにデニムとか…」
「…紫織さんなら何でもお似合いでしょう。
貴女のように特別にお美しい方は服やアクセサリーで着飾らなくても、きらきらと輝いていらっしゃる…」
両手放しの賛辞に、紫織の方が気恥ずかしくなる。
「そんな…やめて下さい。
…二宮さんは私を買い被っていらっしゃるわ」

すると、政彦は徐ろに背筋を伸ばし、改まった口調で口を開いた。

「紫織さん。
僕がこれから申し上げることがあまりに性急でとても非常識なのは百も承知です。
けれど、どうか聞いていただきたいのです」

そうして政彦は丁重だが猛然と頭を下げ、紫織に乞うたのだ。

「お願いです。フランス留学は取りやめてください。
…そして、僕と結婚してください」




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