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異邦人の庭 〜secret garden〜
第12章 ミスオブ沙棗の涙 〜遠く儚い恋の記憶〜
二宮家の内情をざっくばらんに語られ、紫織は少しほっとした。
…そんなに肩が凝るような家ではないらしい…。
また、眼の前の篤子の如何にも女経営者的な強引さと口の上手さにたじたじとしつつも、彼女のさまにはどこか憎めない可愛げがあり…あの美加の母親を彷彿とさせる明るい自信のようなものを感じさせたのだ。
「…お気持ちは…とてもありがたいのですが…」
言いかけたその時、曄子が柔らかく口を挟んだ。
「…すんません。
私からひとつ申し上げなくてはならないことがあります。
紫織の母親…私の妹のことです」
どきりとして、紫織は曄子に視線を送る。
曄子は穏やかに…けれど決して譲らぬ凛とした口調で語り始めた。
「紫織と母親はかつて少し行き違いがございまして今、疎遠になっております。
高校生の時に親子間で心のぶつかり合いがございまして、それ以来紫織と母親は行き来がございません。
もし、今回ご縁がこざいましてそちら様にお嫁入りすることになりました時も、このままの状態が続くかと存じます。
二宮様のような良いお家柄のおうちで、このような歪な親子関係を果たしてお許しいただけるのでしょうか?
お嫁入りしたのち、母親のことで紫織が肩身の狭い想いをするのは不憫でございますので…」
…そんなに肩が凝るような家ではないらしい…。
また、眼の前の篤子の如何にも女経営者的な強引さと口の上手さにたじたじとしつつも、彼女のさまにはどこか憎めない可愛げがあり…あの美加の母親を彷彿とさせる明るい自信のようなものを感じさせたのだ。
「…お気持ちは…とてもありがたいのですが…」
言いかけたその時、曄子が柔らかく口を挟んだ。
「…すんません。
私からひとつ申し上げなくてはならないことがあります。
紫織の母親…私の妹のことです」
どきりとして、紫織は曄子に視線を送る。
曄子は穏やかに…けれど決して譲らぬ凛とした口調で語り始めた。
「紫織と母親はかつて少し行き違いがございまして今、疎遠になっております。
高校生の時に親子間で心のぶつかり合いがございまして、それ以来紫織と母親は行き来がございません。
もし、今回ご縁がこざいましてそちら様にお嫁入りすることになりました時も、このままの状態が続くかと存じます。
二宮様のような良いお家柄のおうちで、このような歪な親子関係を果たしてお許しいただけるのでしょうか?
お嫁入りしたのち、母親のことで紫織が肩身の狭い想いをするのは不憫でございますので…」