この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
異邦人の庭 〜secret garden〜
第12章 ミスオブ沙棗の涙 〜遠く儚い恋の記憶〜
政彦の表情が静止し、僅かに頬が強張った。
「…紫織さん…」
「私は純潔ではありません。
もし、そうではないと思われていらしたら、私は二宮さんを騙すことになります。
ですから、正直に申し上げたかったのです。
…私にはかつて好きなひとがおりました。
…けれど、そのひととは…」
「いいんです…!」
いきなり強い声が上がり、政彦の指が紫織の薄紅色の口唇に封をするように触れた。
熱く微かに震える指先に、政彦の情動を感じ取る。
「…いいんです…。
僕は紫織さんが過去にどんな恋愛をされたとしても気にしません。
どなたかを愛されていたとしても…。
…貴女のように美しいひとが男に愛されないわけがない…。
…恋をしないわけがない…。
だから、構いません」
「…二宮さん…」
政彦の指先が壊れものに触れるようにおずおずと、紫織の透き通るように白い頬に触れた。
「…今、貴女は僕を選んでくれた…。
ほかの誰でもなく、この僕を…。
それだけで、充分です…」
政彦の真摯な瞳が、紫織を熱く見つめる。
「…二宮さ…」
紫織の返事は、触れるか触れないかの微かな口づけに吸い取られた。
…そののち、甘く長く口づけを交わす二人の姿は、春を告げる白梅だけが密やかに見ていたのだ…。
「…紫織さん…」
「私は純潔ではありません。
もし、そうではないと思われていらしたら、私は二宮さんを騙すことになります。
ですから、正直に申し上げたかったのです。
…私にはかつて好きなひとがおりました。
…けれど、そのひととは…」
「いいんです…!」
いきなり強い声が上がり、政彦の指が紫織の薄紅色の口唇に封をするように触れた。
熱く微かに震える指先に、政彦の情動を感じ取る。
「…いいんです…。
僕は紫織さんが過去にどんな恋愛をされたとしても気にしません。
どなたかを愛されていたとしても…。
…貴女のように美しいひとが男に愛されないわけがない…。
…恋をしないわけがない…。
だから、構いません」
「…二宮さん…」
政彦の指先が壊れものに触れるようにおずおずと、紫織の透き通るように白い頬に触れた。
「…今、貴女は僕を選んでくれた…。
ほかの誰でもなく、この僕を…。
それだけで、充分です…」
政彦の真摯な瞳が、紫織を熱く見つめる。
「…二宮さ…」
紫織の返事は、触れるか触れないかの微かな口づけに吸い取られた。
…そののち、甘く長く口づけを交わす二人の姿は、春を告げる白梅だけが密やかに見ていたのだ…。