この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
異邦人の庭 〜secret garden〜
第12章 ミスオブ沙棗の涙 〜遠く儚い恋の記憶〜
「紫織?なあに?
何考え込んでいるの?」
美加の不思議そうな声に我に帰る。
「…ああ…ごめんね…。
…少しね、思い出していたの。
…ご本家にいた男の子のこと…」
「男の子?誰?」
「…高遠ご本家の跡取りの方。
…いずれ高遠家を継がれる男の子よ」
「へえ…」
…あの日の光景を思い出す。
手に押しつけられた熱い唇…。
愛の告白のような言葉の数々…。
まるで耽美的な絵画から抜け出してきたような美しい貌立ちの高貴で繊細な…そして早熟な少年だった。
なぜ、あんな恋の駆け引きめいたことをしてしまったのか…。
自分でもわからない。
…あの美しい鳶色の瞳のせいかしら…。
…けれど…。
「…とても綺麗な男の子なの。
綺麗で礼儀正しくて…どこか現実離れした子だったわ」
「へえ…!さすがは高遠一族だわねえ。
そんな美少年が跡取りなんだ!
いいなあ…紫織は…。
夢とロマンスが一杯じゃん」
羨ましがる美加に
「結婚式のあとの披露宴は、お友だちも招待していいと言われているの。
美加もお母様とぜひ来てね」
誘うと美加が歓声を上げた。
「やった!実はママは高遠家に興味深々だったんだよ。
すっごい喜ぶよ」
…でもさ…
と、言い淀みながら美加は遠慮勝ちに尋ねた。
「…あのさ、藤木先生のことは…もういいの?」
何考え込んでいるの?」
美加の不思議そうな声に我に帰る。
「…ああ…ごめんね…。
…少しね、思い出していたの。
…ご本家にいた男の子のこと…」
「男の子?誰?」
「…高遠ご本家の跡取りの方。
…いずれ高遠家を継がれる男の子よ」
「へえ…」
…あの日の光景を思い出す。
手に押しつけられた熱い唇…。
愛の告白のような言葉の数々…。
まるで耽美的な絵画から抜け出してきたような美しい貌立ちの高貴で繊細な…そして早熟な少年だった。
なぜ、あんな恋の駆け引きめいたことをしてしまったのか…。
自分でもわからない。
…あの美しい鳶色の瞳のせいかしら…。
…けれど…。
「…とても綺麗な男の子なの。
綺麗で礼儀正しくて…どこか現実離れした子だったわ」
「へえ…!さすがは高遠一族だわねえ。
そんな美少年が跡取りなんだ!
いいなあ…紫織は…。
夢とロマンスが一杯じゃん」
羨ましがる美加に
「結婚式のあとの披露宴は、お友だちも招待していいと言われているの。
美加もお母様とぜひ来てね」
誘うと美加が歓声を上げた。
「やった!実はママは高遠家に興味深々だったんだよ。
すっごい喜ぶよ」
…でもさ…
と、言い淀みながら美加は遠慮勝ちに尋ねた。
「…あのさ、藤木先生のことは…もういいの?」