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異邦人の庭 〜secret garden〜
第12章 ミスオブ沙棗の涙 〜遠く儚い恋の記憶〜
「…綺麗だよ、紫織…」
花嫁の控室、ドレスの支度を終えた紫織のもとに、父、亮介が案内された。
介添えの侍女が恭しく頭を下げ、部屋を辞した。

「…お父様…」
花嫁の長いベール姿のまま、紫織はそっと微笑んだ。

…眩いばかりの純白のウェディングドレスはフランス製、超一流ブライダルブランドのオートクチュールだ。
シンプルだが繊細なカッティングのノースリーブのデザインが、紫織のデコルテとスタイルの美しさを際立てている。
ほっそりとした長く美しい首筋には、1.5カラットのデビアスのダイヤモンドの首飾りが燦然と輝いていた。
政彦の母からの贈り物だ。


…高遠本家で特別に挙式を挙げられることになり、篤子はいたく喜び、ご祝儀として用意してくれたのだ。

『紫織さんが先代の奥様の花織様に瓜二つだったとはねえ…。
知らなかったわ。
…ご本家で結婚式を挙げるのは、その千聖様花織様ご夫妻以来だそうよ』

成城の二宮家に挨拶に訪れた紫織に、篤子は感激したように繰り返した。

『本当にこの上ない名誉なことよ。
政彦さんは素晴らしいお嫁様を迎えられたわ。
ねえ、貴方?』
篤子は隣の夫に相槌を求めた。
『…そうだね。
奇しくも…とも言うべきだが、それも大変な縁を感じるね。
…何はともあれ、政彦、紫織さん。おめでとう』
国立大学の経済学の教授である政彦の父親・政仁は大変に物静かで穏やかな人物だった。
政彦の聡明さと穏やかさはどうやら父親譲りらしかった。
…政仁は己れの出自が複雑な分、万事控えめに出しゃばらないように過ごしてきたのだろう。
賑やかで派手な妻、篤子とは正反対の性質のようだった。
『ご本家はともかく、うちは分家の分家で気楽な家ですからね。
紫織さんもあまり気負わずにのんびりとやってくださいね』

さりげなく紫織を気遣ってくれる優しい政仁を紫織はとても好きになった。


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